ボカロ[悪ノ召使]
君は真実を知らない
「ちゃんと女王らしく振る舞わないと、お忍びで来たわけじゃないから」
ジョセフィーヌから降りる前、そう耳打ちする
自分が先に降りて手を差し延べるが、リンだって本当は簡単に一人で降りられるのだ
王女らしく見せるために、二言三言申し付けさせる
それから後ろについて歩く
こっちを見て驚いているカップルの横を通る時
リンの表情が曇ったのを、俺は見逃さなかった
「あの青い男が…?」
リンは町にいる間中、王女らしく振る舞っていた
…あの一回を除けば
「一緒にいた緑の子は誰?」
「あの国の姫…だよ」
帰ってきてから初めて喋ったな
それだけショックだったのか
まぁ、欲しいものは全部手に入るものだと教え込まれてるようだしね
何も知らないから…
自分がやらされていることも
命を…狙われていることも
俺は知っている
この数日、嫌に頭がクリアで様々なことを把握することができたんだ
リンが死んだ場合に発生する城や財産の分配についての書類
そして、町に出る前に盗み聴いた話
『姫を犠牲にすることに決めたらしい』『可哀相だなぁ。でも、この国を我らのものにするためです』『あぁ、だな』
俺の中で答えが出た
姫ってのは多分、緑の子のことだ
何らかの理由で向こうの王もリンを殺したいらしい
町を歩いていたあの子を、頼みの綱であるかのように振り返る人 人 人。
リンを狙う犯人は、緑の国とここにいる大臣…つまりはそういうこと
嫉妬して殺したってことにすれば、リンを処刑にするくらい訳無い
…あの緑の子の瞳、自分が使われているってわかってるようだった
全てを諦めていた
リンがあんな瞳をするようになったら俺は、どうするだろう…
考える時間など、必要なかった――
―――――――――――
前の文と繋がってます
リンはカイトが好き!
…ってわけではなく、憧れのようなものです
ミクと同じで、お兄ちゃんが欲しいのかもしれません
レンは一応双子の弟設定なので…
とても間が空いてしまって申し訳ありませんでした…!
話自体はボカロ小説をupし始めた頃にすでに書き終わっていたのですが、発掘作業に手間取りました←掃除しろw
読んで下さりありがとうございました^^
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