三周年アンケリク テンさまへ(創作×黒猫ミケトレ ミケトレ同居学パロ ――二人の一日偏―― 廊下とリビングとを繋ぐ扉が勢いよく開いた。しかし怒られないようになのか、ドアノブはしっかり握られたままだ 「おっはよーミケっ!」 「おはよう。元気だな」 「あったりまえだろ?せっかくの夏休みだぜ?」 「……そうか」 リビング奥の、半分がオープンとなっているキッチンに立っていたルミケットは気だるげに小さな溜息を吐いた 「なに、休みの日にしては飯作んのはやいなーって思ってたら、登校日だと思ってたのか?」 「……。」 黙秘するかのように黙り込むが、それがそのまま答えになってしまっていることはルミケットも理解しているようだ 少しして、小さく頷いた。不服感たっぷりに。 そんな相手の様子に、トレインが噴き出す 「うははは!なんだそりゃ!かっわいい!」 「うるさい。いらねぇのか、」 「っ、わぁ!いるいる!」 ごめん!と顔の前で両手を合わせて謝るトレインを見て多少なりとも機嫌が直ったのか、今度はルミケットがクスリと笑った 「ん。じゃあほら、顔洗ってこい」 「……、おう」 わりと珍しいその表情に少し見惚れてしまうも、トレインは言われた通りにレストルームへ向かった 「さて、と。」 その間にルミケットは朝食の準備を進めていく 簡単なもので済ませようと思っていたのだが、時間があるのならばと冷蔵庫の中を確認して増やすメニューを何にしようか考えた 「ごちそうさま!ふはー、食った食ったぁ!」 「ん。……そうだった、トレイン」 朝食後、なにかを思い出したように名前を呼ばれ、トレインは間の抜けた声で聞き返す 「今日から休みなら、姫達に勉強を教える約束があるんだ。リビングを片付けるから少し部屋に戻っていてくれ」 「えー、なんだよそれぇ!つまんねー!」 「少しだから。終わったら一緒に買い出しに行こう。」 「マジ!?よっしゃ、ミルク買ってくれよな!」 「あぁ。」 手伝おうという意思は全くなく、さらに欲求まで被せてくるトレインの態度を慣れたもののように流す ルミケットとトレインの間ではいつものことであった。手伝われたほうがかえって迷惑だと溜息を吐くことになるだろう。そんなこと、どちらもわかりきっていた そのためお互いにそれ以上文句を言うことなく、トレインが従順に部屋へ戻るのを見送ったルミケットはあたりを見渡す 掃除といっても、毎日学校から帰宅後行っていることだ。いつもより手間をかけようなどと意気込むことでもない ただ、朝と夕方の二回、同じことを繰り返すだけ。休みの日はいつもそうしているため、ルミケットにとってはなんでもないことである。 期間限定の日課になるくらい、わけない とくに迷うこともなく、ルミケットは作業に取り掛かることにした 水音と、遠くから笑い声が聞こえる ふ、小さく息を吐き出してコックを閉めると、その様子に気付いたのか声を掛けられた それに短く返す 「もう終わったのか?」 「あぁ。トレインは、もう寝るのか?」 「うんにゃ、ミケがシャワー終わるまでは起きとく」 濡れて艶やかな髪にタオルを被ったままミルクを飲んでいるトレインは、とくに観たいわけでもないバラエティー番組をなんとなく流し観ながら答えた その返事にまたも簡潔に返して、シャワールームへ向かう トレインがミルクを飲み終える10分のない時間でルミケットが出てくるのはいつものことだ。所謂カラスの行水と言われるような速さではあるが、ふわりと石鹸の香りが広がる ルミケットがガシガシと髪を拭いている間にトレインはミルクの瓶の中をさっと洗い流した 「ほいほい、じゃあもう寝ようぜー」 「ん。」 ルミケットに歯は磨けよ、と言われトレインはわぁかってるって。と素直に答える お互いとくに隠すようなこともなく、自然と部屋は一緒だった それをおかしいと感じるきっかけが今までなかったため本人達は相手に後ろめたい気持ちがないうちはきっとそのまま続くのだろう 全くもって健全な生活を送っており、それゆえ高校生としてはむしろ不健全だと言える かろうじて引っ付いてはいないベッドへ入り、トレインはすぐに休む態勢に、ルミケットは座って読書ができる状態をつくった 「消すぞ」 「ほーい」 ぱちんっと小さな音とともに証明を暗くすると同時にルミケットは手元のみを照らすライトをつけた 「おやすみ、ミケ」 「おやすみ、トレイン」 すぐに聞こえはじめた寝息に、いつものように苦笑するのは忘れずに ルミケットは分厚い本を開いた ―――――――――― かなり遅くなりましたが、三周年感謝フリリクでテンちゃんに頂いたミケトレです! 今回は、自分が気に入ってる同居学パロの設定で書かせて頂きました。ミケさんが本物と違ってオカン。そして優しい。表情もだいぶやわらかい。 ほかにも細かい設定があったりなかったりですが、今回は関係ないので割愛させて頂きます!! ありがとうございました。 140914 [*前へ] [戻る] |