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三周年アンケリク
春華様へ(黒猫スヴェトレ





ふわふわと降りてくる白い雪

それをただ見上げている黒い猫は、いったい何を考えているのだろうか…


「…なぁ、」


ずっと思案していると、突然かけられた声。

俺は、それに短く喉を震わせることで返事とした


「スヴェンは、この雪が綺麗だと思うか?」


何を考えていたのかと思えば…息を吐いて、再び煙草をくわえて、そのまま声を出す


「見た目だけ言うなら、綺麗なんだろうな。だが、その実態は綺麗だなんて言えたもんじゃねぇらしい」

「ん?なぜに?」

「まぁ、成分は雨と同じだからな」

「へぇ。さっすがスヴェンちゃん、物識りだなっ」


振り返ってにかっと笑うトレインを見て、『お前は綺麗だが』とか

俺にもトレインにもガラに合わねぇようなことを本気で口走りそうになって激しく首を振る


「何してんだよスヴェン」


案の定、行動の意味が理解できなかったトレインが心配そうに声をかけてきた

なんでもねぇよと返して、先程のトレインと同じように空を見上げる


「…まぁだからなんだ、雪を食うようなことはすんなよ?」

「するかっ!!」


誤魔化すように放った言葉にツッコミを入れられて苦笑し、紫煙を吐く。


「だってお前、この前だって雪降ったらはしゃいでただろうが。子どもかっつーの…」

「むぅ…!はしゃいでわりーか!」

「悪い。そのせいで俺まで今寒い思いしてんだろうが」

「…っ」


『じゃあ中に入ってればいいだろ!?』


トレインがそう言うことは、ない。

いや、言おうとして止めただけかもしれないが

少し前までのこいつなら、確実にそう言っていたと思う


「……ごめん。」

「いや、気にすんな…」


元はといえば、悪いのは俺なんだから…


(あれからもう半年が経つのか…――)



「…早く、スヴェンとのこと思い出してぇな」


トレインのその切ない声は、白銀に染まりつつある世界に淡くとけた




―――――――――――

シリアスなスヴェトレになりましたが、どうですかね…?
設定としましては、トレインが記憶喪失になってしまい半年が過ぎたある日の話。
ちなみに、スヴェンを庇って何らかの事故に捲き込まれた感じ…曖昧ですいません!
アンケート参加ありがとうございました!これからもトレイン受けで頑張りますので宜しくお願い致します…!!


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