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ドッペルゲンガー[杏ほむ]

初めてあいつを見た時、まるで昔のあたしみたいだと思った。

それからしばらくして、ますますほむらはあたしになっていった。
目的のための執念に燃えた盲目にも似た瞳も、辛さを人に見せまいと耐え忍ぶ姿も、なにもかもあの頃の私だった。


「ほーむーらっ!」
「……なに。」

商店街の近くの公園で、あいつを見つけて、心が躍る。良かった、今日は会えたんだ。

「ほむら、また寝てねぇんだろ。顔に出てる。」
「うるさい。貴女には関係のない事よ。消えなさい。」
「今日はやけに冷たいんだな…」

そう言ってから苦笑まじりに笑えば、ほむらはつまらなそうに鼻を鳴らす。それから鋭く私をその目に捉えると、消えなさいと一言発した。

けれどあたしは怯まない。

さらにほむらと距離を詰めると、彼女は小さく身じろいだ。

「あんたさぁ…」
「貴女にあんた呼ばわりされたくないわね。佐倉杏子。」
「本当に可愛くねぇなー。あのさ、ほむらは何をそんなに頑張ってる訳?」

そう問えば、ハッとして私を見つめるほむら。あたしはそんなほむらをさらに追い詰めるかのように、質問を投げた。

「あんたは……なんでそんなに必死なんだい?」
なぁ…ほむら、と呟けば、目の前の青白い顔をした女はゆっくりと顔を上げた。
それから一言。

「貴女には関係ない。」
「あたしは、あんたを助けたい。あんた…そのままだったらいつか壊れるぞ。」
「その必要はないわ。」

くるりと踵を返したほむらの、長くて綺麗な髪がふわりと宙を舞う。
あたしはそれを目で追う事しかできなかった。だがそれでも構わない。あいつがあたしの言葉を受け止めなくても構わない。
これは多分、あたしの自己中心的なエゴだから。


「あんたの早さは…昔のあたしによく似てるよ。暁見ほむら。」

彼女の堕ちていく早さは、あたしによく似てた。だから、他人の事などどうでも良かったはずなのに、何故だか気になってしまうのだ。

昔のあたしはほむらに出会い、完全に死んでしまった。だから今度は私が今のほむらを殺そう。

そんな事をひっそりと決意しながら、小さくなっていく彼女の背中を見送った。



・*・*・*・*・*・*・*・*・

杏ほむが好きすぎて、ついにやってしまいました!
杏子は自分が辛かったからこそ、ほむらの緊張とか苦悩が分かってしまうんじゃないかと妄想。


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あきゅろす。
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