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こ話
熱燗と下僕[ルカメイ]
※以下拍手お礼小説です



「ルカー、熱燗飲みたい。」
「了解しました!メイコさん。」

二人でコタツでテレビを見ていたが、
その言葉を聞いてから、私は早速台所へ向かった。


それからまず徳利に日本酒を注ぐ。
そして鍋に手を入れられるくらいぬるいお湯をはり、徳利をつける。

この時、徳利の口にラップをしておくと、香りが逃げにくいので、ラップで覆った。

それからすぐに鍋を火にかける。
そして温めている間、徳利を軽くまわし、まんべんなく温めるようにする。
こうすると美味しくなると、昔メイコさんから聞いたのだ。
大体5分ほど経った頃、火傷に気をつけながら徳利を引き上げた。


タオルで徳利を拭いていると、メイコさんが後ろから声をかけてきた。


「さすがルカね。完璧じゃないの。」
「メイコさんが教えて下さったんじゃないですか。」
「いや、そうなんだけど…、あんたって苦手な事とかない訳?」
「苦手な事ばかりですよ。」

そう自傷気味に笑うと、メイコさんはつまらなそうに口を尖らせた。


「嘘付き。何でも要領よくこなすくせに。」
「本当にそんな事ないですよ。」


そう言ってから、温かい徳利をお盆にのせてメイコさんに手渡すと、
ありがとうとお礼言われた。

「私はメイコさんには敵いませんから。」
「なによ。私だってか弱い乙女なのよ?」
「乙女って…。メイコさん酔いすぎですね。」
「そうかも、なんか恥ずかしくなってきた……。」


メイコさんの元々赤みを帯びていた顔が、さらに赤くなった。
照れて目を逸らしたメイコさん。

なんだか堪らなく可愛らしい。
ああ、もう!私が貴女のそういう所に弱いのには、どうして気がついて下さらないんでしょうか…。


「メイコさん……可愛らしい…」
「……放って置いてよ。ばか。」
「いつもの冷たいメイコさんも好きですけど、今の可愛らしいメイコさんも好きです!」

私がそう言うと、メイコさんは少し考え込んだ様子だった。
暖かな栗色の瞳に見つめられる。


「あんたって、日本酒みたいね。」
「へ…?日本酒…ですか。」
「うん。日本酒って急な温度差に弱いのよね。」

そして、ちゃんと教えたわよ?と付け加えられた。

ああ、成る程と納得してしまう。
さすがはメイコさんだと感心していると、一つの疑問が浮かんだ。

「って…ああ!メイコさんは私の事が好きって事ですか…!?そうなんですね!?」
「あんたうるさい。どうかしらね。」
「ふふ…メイコさんたらお可愛らしい…!」
「ばーか。ほら、熱燗冷めちゃうじゃない!飲み直すわよ。」
「ま、まだ飲むんですか…?」


当然じゃないの、と嬉しそうに私が温めた日本酒を美味しそうに飲むメイコさん。
それだけで幸せになれる。



「メイコさーん。私日本酒なんで、今度はメイコさんが私を温めて下さい!」
「調子に乗らないの。」



やっぱりメイコさんは、温度差が激しい。仕方ないので私は、コタツに入り、メイコさんの蜜柑を剥く作業に戻ったのであった。



・*・*・*・

熱燗(あつかん)は、温めた日本酒みたいな感じです。
最初の方はルカさんの楽しい熱燗講座になりました。すみません。
ちなみにアレの通りに作ると、美味しく作れるらしいです。人から聞いたので、いつか書きたいと思ってました。


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