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溺れておいで[ルカメイ]


「ルカ、暑いわ。」

「冷房の温度、お下げしましょうか?メイコさん。」

「…あんたが離れるだけでいいのよ。」


そう言うと、今まで私に抱き着いていたルカは離れた。
そして、残念です、と名残惜しそうに私を見つめる。


「……ルカは、よく私に抱き着くわね。」
「ええ、大好きですから。むしろなめ回したいです。」

「殴るわよ?」

「…殴ってから言わないで下さい。」


そう言うルカは殴られても、嬉しそうにするので、なんだか調子が狂う。

いつもいつも、私に好きだのなんだのと言ってくる時と、何一つ変わらずに笑うルカ。
最初のうちは、バグを心配したものだが、今では慣れてしまい、
それがルカなのだ、と考えるようにしている。

殴られて嬉しがる人なんて、ルカだけだろうから。



「…メイコさんだからですよ。」
私の考えていた事を察したように、ルカは私に言った。

「メイコさんにだから、殴られても嬉しいです。触れられたら幸せになります。」

「そんなのルカだけだわ。」

「そうかもしれませんね。」
また幸せそうに笑うルカに、私は、そんなの馬鹿げてるわ、なんて言えなかった。


「でも…、私、メイコさんの髪に触れたいんです。」

「…髪?」

不思議に思うと、ルカは知りたくもない事を嬉しそうに、けれど真剣に話した。


「メイコさん。人の髪に触れる、という行為の意味を、ご存知ですか?」

「知らないけど…」

「相手を支配したい…という欲求の表れ、らしいですよ。」


そこまで聞いて、後悔した。
完璧に、ルカのペースの中だったから。

私は流されやすいほうでは無かったはずだが、どうも巡音ルカは私の扱いが、上手いらしい。

小さくため息をつく。


「メイコさんが、私を好きではない事は知っています。」
そう言い、私の髪に触れるルカの目は、悲しげに揺れる。

「家族としては好きよ。」

「私は、家族としてでなく、1人の女として、メイコさんに愛していただきたいです。」


真剣に、まっすぐに見つめられる。
桃色の瞳に、私の困惑した顔が映る。


「無理に、とは言いません。けれど……」
「……」

「今だけ、今だけはどうか、このままで。どうか、私から目を背けないで。」

そしてきつく抱きしめられた。


私がいつルカから目を背けたっていうのよ、と言うと
私を抱きしめたルカは、耳元で
いつも上手く逃げられていますからね、と囁いてきた。

本当にメイコさんは、私の扱いが上手いですから、とさらに囁いてくる。


「私、ルカの事、愛せないわ。まだ、ね。」

「ふふっ。それでこそメイコさんです。まだ……ですか。」

「そうよ、まだね。」

そうやって笑ってみせると、ルカも笑った。
そして私はルカの柔らかな、桃色の髪に触れてみた。
滑らかな感触が心地良い。



「私を、支配したいですか?メイコさん。」

「……そうかもしれないわね。」

「私はメイコさんになら、なにをされても、幸せですわ。」

そう言って微笑むルカは、本当に幸せそうだった。



まだ、愛してあげない。
もう少しで私が貴女に溺れてしまうから。
それまでどうか、待っていて。

貴女に何をされても幸せで、微笑んでいるようになるまで、あともう少し。


お互いに溺れてしまえば、支配欲なんて消えてしまう。
そうしたら、髪だけじゃなく
心ごと触れて、愛して、抱きしめて。


だから、もう少しだけ、待っていて。




・*・*・*・*・*・*・

いじらしいルカメイ。
気持ち的にはルカ→→←←←メイ的な。
メイルカにも見えますね、コレ。

たまにはルカさん大好きなめーちゃんも、いいかなーと。

ちなみに
馬鹿らしいとか思ったり、ため息ついてみたりとかしているけど、
それは自分をごまかすためだった、っていうメイコ。
ルカは気がついてるけど、メイコの気持ちを大切にしてて、待ってる。
っていう話し。

わかりにくいです、すみません。

ここまで読んで頂いて、ありがとうございました!


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