[携帯モード] [URL送信]
人形の中身[リリグミ]

たとえ報われなくても、
貴女が居た温もりさえあれば
利用されたって構わない。


***


金色の艶めいた髪。
少し細すぎる肢体は、やはり病的に白い。さらに金色の豊かな睫毛で縁取られた綺麗なブルーの瞳はまるで、

「人形みたいだよ。」

私がそう呟けばリリィは不思議そうに顔を傾けた。さらりと真っ直ぐな髪がゆれて、私の視線を奪う。

「やめてくださいよ、姐さん。」
「なんで?」
「あたしが人形とか…似合わないの、知ってるからさ。」

そう自嘲気味に笑うリリィもやはり綺麗だと私は思う。
ただ、厚く塗りたくられた化粧のせいで、リリィの元々持つ清楚な顔立ちからは程遠い事は事実だ。私はそれがとても気に入らなくて、何度もリリィに言ってみたがリリィは頑なにその厚化粧をやめようとはしなかった。
いつも私の言うことだけは素直に聞くリリィが、初めて私を拒絶したように思えて、それ以来リリィの化粧に私は敏感になってしまった。


「いや、やっぱり人形じゃない?フランス人形みたいな高級なやつ。」
「姐さん、よしてくださいってば…」

照れるリリィの唇を指でなぞれば、口紅の赤が私の指についた。

「なんですか?」
「うん。なんでもないんだけど、なんとなくかな。」

またもや不思議そうにリリィは私を見つめる。私は指先についた赤を自分の唇になぞってみた。化粧品特有の香りに思わず私が顔をしかめると、リリィは私の手を握りしめた。

「やめてくださいよ!何やってるんですか!」
「何って…リリィが化粧する気持ち分からないから」
「だからってそんな…」
「リリィはさ、沢山恋愛知ってそうだよね。」
「そんなの…」
「私はさ、全然そういうの分からないんだ。ずっと仕事が好きで、仲間が好きで、それしか見てこられなかったんだ。」

リリィが握りしめた私の手をゆっくりと離す。

「あたしはそんな姐さんが好きですから。」
「知ってる。ねえ、だったらさ、」

私に恋愛教えてよ。リリィが男達にするみたいに私を虜にしてよ。二度と戻れない所まで。

「姐さん…?」
「ほら、やってみてよ。リリィはさ、男で遊ぶのが好きなんでしょ?だったら私でも遊んでいいよ。」

だってきっとその厚化粧だって、男を魅了するものなんでしょう?と呟けば、リリィに思い切り抱きしめられた。
いつもよりも体温の高いリリィの温もりは、なんとも気持ち良かった。見上げれば、リリィの泣きそうな顔があった。


「あたし…あの…バカだから上手くいえないけど…」
「うん。」
「姐さんと初めて会った時から…」

ああ、分かってるよ。リリィはきっといつもそんな風にして男の人を誘っているんだね。だから泣きそうな顔も、俯くしぐさも全部演技なのだろう。


「もういいよ。リリィ。私とも遊ぼうよ。」

さあ、お人形遊びをしようか。なんて思いながら、とびきりの笑顔を泣きそうな金色に送った。


・*・*・*・*・*・*・

ビッチぶった一途リリィ×勘違いしてるイケメングミ。
リリィはグミ以外の人には、口が悪いというか不良っぽいイメージ。グミの前では結構丁寧に話す感じ。

どちらも一方通行だと思ってるのってせつない…



[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!