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どんな綺麗な花よりも[ルカメイ]


花よりも綺麗…


*


今日はなんだか冷えると思ったら、水まじりの雪が降っていた。




桜が綺麗なこの時期に、雪が降るというのは珍しい事だ。

今日はメイコに2人で花見に行こうと誘われている。
慌てて天気予報を見るために、テレビをつけてみると、
どうやら今日は一日中、天気が安定しないようで、雪は止みそうにないらしい。


小さくため息をつくと、メイコが声を掛けてきた。



「ルカ、気にする事ないわよ。お花見はまた今度にしましょう。」

「…ええ。そうですね。」

別に気にしてはいない、というそぶりを見せると、メイコは

「じゃあ、朝ご飯にしましょうか。」
と私に笑いかけた。


そして2人きりのリビングから出ていこうとする。
おそらく朝食の支度を、カイトにさせるためだろう。

なんだかそれが、とても気に入らなくて、思わずメイコの細い手を掴む。



「ルカ…?どうしたのよ?」
メイコは驚くものの、掴んだ手を振りほどこうとはしない。



「お姉様…私、朝食なんて取る気分じゃありません。」

「どうして?」

「それは……」
頬が赤くなるのを感じる。

「……ルカ?」

「そ、それは…ですね…あの、」
まだ一緒にいたいだなんて、言い出せるはずは無かった。

言えばメイコを困らせるだけだ。
自分の我が儘だけで、みんなのお姉さんであるメイコを、独り占めする訳にはいかないから。



「お花見残念よね。でも、明日には天気も良くなるようだし、明日にでも…」

どうやらメイコは、私が花見を楽しみにしていたと考えたようで、なんとか励まそうとしている。

確かに花見は楽しみだ。
でも、私が楽しみにしていたのは、花見だけではなく…
いつもなら、彼女のこんな優しさがとても嬉しい。

だが、今はその優しさに憎さすら覚える。


「お花見なんてどうでもいいんです。」
ああ、もう止まらない。

「あら、そうなの?でも天気予報まで見てるから、てっきり楽しみにしてたのかと思ったわ。」
私が本当に楽しみにしてたのは、花を愛でる事ではない。







「私が本当に楽しみだったのは……お姉様と過ごす時間です。」

ああ…ついに言ってしまった。
上がる体温。心拍数上昇。



メイコは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに優しい笑みを浮かべた。
「…それじゃあ、もう少しだけこのままでいましょうか。」

仕方ない子ねぇ、と呟いたメイコの頬は、ほんのりと淡い桜色に染まっている。

私はそれを本当に美しく、愛おしいと、感じた。





皆が起きてくるまであと15分。
メイコと過ごしたこの15分を、私は忘れないだろう。




明日もやはり花を愛でる気には、なれそうにない。

――貴女の方が美しいから


見とれるのは貴女にだけですもの。












***

(ちょっとカイ兄、ドアの前で何してんの…?)

(あっ…ミク!まだリビング入っちゃダメだって…)

(リンお腹すいたよー)



***

桜ネタになりきれてない\(^0^)/
まだルカさんが、来て間もない頃の設定。

案内のつもりで、花見に誘ったメイちゃんの優しささすがだと思う

早くリンちゃんに、朝ご飯を食べさせたげて!

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