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カナリア哀歌[ルカメイ]

「メイコさん、好きです。」

もはや口癖のようになってしまった言葉を、私は今日も愛しいメイコさんに送る。
それを一瞬困ったような顔をして聞くメイコさんを見たのは、これで何回目なのだろうか。


「あんた…ホントに懲りないわよね。」
「諦めない事は大切ですよ?」

そう言って笑いかければ、またメイコさんは困ったような顔をする。


「私もよ、だなんて言わないからね。」
「分かっています。メイコさんは家族思いですものね。」
「恨めしそうに見つめないでよ…」


そんないつも通りのやり取りを繰り返せば、私の頭の中にある事が浮かんできた。

それはカナリアというとても美しい歌声をもつ鳥の事。
柔らかな絹のような赤い毛並みを持つその小鳥は、私にメイコさんを連想させるには十分だった。そう、メイコさんの美しさはカナリアに似ている。

またカナリアは人の言葉話す事が出来るそうで、根気よく教えれば話せるようになるそうだ。

私はその話を聞いた時、言った事を復唱するという事が酷く魅力的な事に思えた。


「メイコさんはカナリアですね。」
「は?カナリア…って鳥のカナリアの事?」

そうです、といえば今度は不思議そうな顔。表情が変わる事に愛しさが込み上げてくる私の心には、きっとメイコさんの事で埋め尽くされいるのだろう。いや、そうであって欲しいのだ。


「カナリアに似ています。」
「ま、ペリカンとかよりはそっち側よねー」

わざとおどけて話すメイコさんの様子をみて、思う。多分私は今泣きそうな顔をしているのだろうと。
そんなメイコさんの優しさが苦しかった。

「カナリアみたいに覚えて下さればいいのに」
「何を?」
「好きって言い続ければ、いつかメイコさんは私に言って下さいますか?」


メイコさんのハッとしたような顔を、ただ黙って見つめる。
私の目の前にいるメイコさんは、また困った様子になる。

また困らせてしまったと私は自傷気味に笑った。
そして、私のこの愛は、愛しい人を困らせる事にしかならないのだと再認識する。

瞳に溜めた涙が溢れて、視界が滲む。
大好きなメイコさんの顔さえも、歪んでいく。


そして私はいつだったかメイコさんに言った言葉を叫ぶ。
まるで縋り付く子供のように。



「…メイコさん、好きです。大好きなんです…!」



メイコさんは小さく口を開いた。
けれどどうしてか、私にその声は届かなかった。

しかし一つだけ言えるのは、
きっとその答えは、きっとメイコさんの瞳から溢れ出したものによく似ているという事だけだ。









・*・*・*・*・*・*・*・


最近、ルカ→メイ成分が足りないなーと思って、片思いものを書いてみました。

やっぱりルカメイらしさが出るのは、ルカ→メイでしょうか…
でももちろん甘いのも大好きですよ!

カナリアって黄色だとずっと思っていたんですが、赤色個体もあると聞いていつか書こうと思ってました。

読んで頂いてありがとうございました!



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