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パーフェクトアンサー[ルカメイ]

嫌になるくらい晴れ渡る日曜日。
窓の外からは、学校が休みの日なのだろう子供が友達と連れ添いはしゃいでいる。

うらやましい、と呟くとなんだかいけない事を言ったような気がして唇を噛んだ。


「ルカ?何やってんのよ。」

ワンカップ片手に話しかけるメイコに、何でもありませんよ、と言えばメイコさんは顔をしかめた。

「あんたは嘘つくの下手すぎ。」

メイコさんは、ニヤリと笑い手にしていたカップに口をつけた。


「うらやましい。」
「何が…?」
「あの子達…いえ、人間がうらやましいです。」


ああ、と彼女は悟ったように口を開いた。
きっとメイコさんは全てを分かっている。他人の物を羨むなんて卑しいとは知っていながらも、何度もそれを欲しがる私をメイコさんはいつも見てきたのだから。


いつの間にやら子供達はどこかへ行ってしまい、詰まらなくなった私はソファに腰をかけた。
そしてメイコさんは私に言った。


「私は、あんたがうらやましい。」

それがどういう意味で言ったのかは分からないが、メイコさんの目は真剣だった。
ゾクゾクするのを肌で感じる。


「…そ、それはどういう意味ですか?」
「あんたは成長する事がうらやましいんでしょ?だったら私はそれを欲しがるあんたがうらやましい。」

時間が経過する毎に成長していく彼らが羨ましかった。
だんだんと背丈が伸び、いずれ声も低くなり肩幅も広くなり、大人へと変わり行くだろう彼らが羨ましかった。

私はずっと時が止まったままなのに。
軽く唇を噛んでも、血なんか出てこなかった。

メイコさんはそんな私を、飴色の綺麗な瞳で見つめていた。


「メイコさん…?」
「ねぇ、ルカは何がそんなに怖いの?」


それからメイコさんは、私の首にキスをした。
耳元で囁かれ、私は言葉がでなくなる。それをいいことに、メイコさんはさらに言葉を続けた。


「ルカはちゃんと成長してるわよ。あんたは歌のレッスン頑張ってるものね。」
「…ちょ、メイコさ…っ!やめて下さっ…」


耳元が弱いのを知っていてわざとやっているのだろうと、私は鈍る思考回路で考える。
耳を甘噛みしてくるメイコさんを押し返すと、メイコさんは悪戯に笑った。


「次またそういう顔したら食べるから。」
「わ、私だって次されたら…メイコさんの事食べますよ!」

調子出てきたじゃない、なんて笑うあなたが少し憎らしくて愛しかった。


「私は、あんたと過ごせたらそれで満足なのよ。」

そう言って、ずるい貴女は綺麗に微笑む。

何一つ私の不安に対する答えなんてくれないくせに。どうしてかいつも、メイコさんの笑顔を見るとどうでも良くなってしまう。
まるでこれ以上ない答えを見つけたように。


相変わらず私ボーカロイドの成長は止まったままだ。けれど変わりに大切な何かを手に入れた気がして、悩んでいた自分が馬鹿らしく思えてきた。


「ありがとうございます。メイコさん。」
「どういたしまして。」



微笑むメイコさんが目の前にいて、
私はそれ以上何も言えなくて、そっと窓のカーテンをひいたのだった。





・*・*・*・*・*・*・*・*・

メイルカにも見えるけど、ルカメイっていう……すみませっ…

ルカメイルカという事で、お願いします。問題あるようでしたら、冒頭に注意書きをプラスしておきます。

ルカは精神はまだ未熟だったりしたらいいなーとかいう妄想。幼いのではなく未熟っていうのが個人的に大好きです!

メイコは反対に答えを出さなくても諭せる大人……みたいな話しが書きたかったんですがね、なんだこれ。

では、ここまで読んで頂いてありがとうございました!




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