偽物サディスト[ルカメイ]
悪戯に微笑む端正な顔。
艶めく桃色の唇。
纏うのは妖艶な色気と、サディスティックな空気。
思わず息をのむ。
私、メイコが見ているルカは全くの別人だった。
正しく言えば、このパソコンのモニターに映し出されたルカは、まるで別人のようだ、だろうか。
とにかく私の知っているルカとは、何もかもが違っている。
いつも優しく微笑むはずのルカの瞳に、鋭さがまし、私の胸はしめつけられる。
画面の向こうのルカの魅力に、クラクラした。
「メイコさん。何を見ているんです?」
突然の後ろからの声に肩を震わせた。
「べ、別になにも……」
「ああ…。この間のPVですか。でも珍しいですねメイコさんが私のPVを見るなんて。」
そう言われてルカの顔をちらりと伺うと、相変わらず優しく微笑んでいた。
それに反して画面の中のルカは、こちらに向かって蔑むような目で見つめていた。
さも楽しげに、けれど嗜虐的に言葉を投げながら。
私がそれを見ているのに気が付いたルカは、小さく笑ってから
「恥ずかしいので消して下さい」
といってパソコンの画面を消した。
「ルカは……Sなの?」
「なっ、違います!これは本社の依頼で。サディスティックな雰囲気で、と言われたものですから……」
なんだか焦るルカが可愛くて、私まで笑えてしまう。
「もう、メイコさん。からかわないで下さい。」
「ごめんごめん。でも動画のルカがあまりに雰囲気違うから、ね。」
「そういう雰囲気の私の方がお好きですか……?」
心配そうに私を見つめる桃色の瞳。
先程までは画面の中でこちらを睨みつけていた瞳。
私がしばらく黙っていると、それが肯定だと勘違いしたのだろうか。
ルカは焦ったように、
「メイコさんが御望みでしたら……サディストにでも女王様にでもなってみせますから……!」
だなんてルカは言った。
そういうルカのことが、私は好きになったのかもしれない。
大好きで大好きでたまらなくて、いっそ一つになれたら楽かもだなんて考えた事もあった。
私のために、と考えているルカがどうしようもなく愛しく思えて、
「馬鹿ね。そんな訳ないじゃない。」
そう言ってから、
私は偽物サディストにキスをした。
・*・*・*・*・*・*・
ルカは女王様キャラとして扱われる事が多いので、
メイコさんの反応を妄想してみた。
多分ルカは恥ずかしいからできるだけそういう部分を隠そうとするし、
メイコはそれを知っていてからかう。でも好き!みたいなのだと嬉しい。
ではではここまで読んでいただいてありがとうございました!
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