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手繋ぎロマンチスト[ルカメイ]



ルカはよく、私と手を繋ぎたがる。


私がそれに答えて右手を差し出すと、ルカは笑顔で、自分の左手を絡める。

ゆるやかに。弱々しく、触れるだけ。
そんないつも通りのルカの左手。


もっと強く握ってよ。


なんて言えるはずもなく、素直ではない私は、自分から強く握る事さえできない。





「やーっぱり、私の事、嫌いなのもね……」
そう誰もいないリビングで、コーヒー片手に呟くと、


「おはようございます。今日もお美しいですね、メイコさん。」

案の定、ルカが起きてきた。


「もう昼過ぎなんだけどね。皆、出かけちゃったわよ。」

「私はメイコさんと二人きりなので嬉しいです…!」

そう満面の笑みを向けるルカは、
隣に失礼しますね、と言い私の隣の椅子に座った。

本当に恥ずかしい台詞を、躊躇いもなくいうものだ……



「で、嫌いって、誰に嫌われているんですか?メイコさん。場合によっては、私自らその人を抹殺してきますけれど……?」

「いや、いいから。発想が怖い……。って言うか聞いてたの!?」

「ええ。私の耳は、メイコさんの声を聞くためにありますので。それで、誰に嫌われているんでしょうか……?」

ルカは私をじっと見つめ、引き下がろうとしない。
これは言うまで逃がしてくれそうにない。
はぁ、と溜息をついた。


「……あんたに嫌われてるのかな、って思って……」

「え?私にですか!?私何かしました?」

「そうよね。そういう反応なのよね……」
予想はしていたのだ。
きっとルカは分かっていない。

どういう事ですか話して下さい、とルカに言われ、私は言葉を続けた。


「あの…さ、あんた手を繋ぐの、好きよね。」

「はい。」

「でも、あんまり強く握ってくれないじゃない……。なんていうか、緩く繋ぐだけ…みたいな感じで、」

「はぁ、そんな事だったんですか。ふふっ、メイコさんたら可愛いです。」


ちょっとこっちは真剣に悩んでたのよ!と言おうとしたら、ルカの唇が私の唇と重なった。

柔らかいな、と思っていると唇はゆっくりと離された。


「私がメイコさんを嫌いな訳ないでしょう…?」

「さぁ、どうかしらね。」

「……私、怖いんですよ。」

ルカは急に真剣になる。


「メイコさんを束縛してしまいそうなんです。自分だけのメイコさんでいてほしい、だなんて自惚れてしまうんです。」

私が黙って耳を傾けていると、ルカは自分の手を私の手の平に重ねた。


「だから、大切な人ほどゆるく繋ぎ止めていたいんですよ。」


ルカは
いつでも解けるように、
いつでも繋ぎ直せるように、と付け足す。

「私、メイコさんの重荷にはなりたくないんです。分かって下さい。
メイコさんがいつか、もしも他の方を好きになってしまったら、その時は…」

「離れていく……って言うの?」

「はい。それがメイコさんの幸せなら。」


何故だか堪らなく寂しくなり、ルカの左手に私の右手を絡めた。

そして、ぎゅっと握る。


「生憎だけど、そういう予定はないわね。」

「ふふっ、そうですか。」

「ついでに言うと、あんたにだったら束縛……されたって構わないから。」

「え、メイコさん!?い、い、いいんですか?」

「何動揺してんのよ。だから、その……馬鹿な事言ってないでよ!離れるなんて、言わないで。」


お願いだから、
と付け加えるとルカは信じられない、というような顔でこちらを見ていた。

しかしすぐに微笑み、


「メイコさんが素直で、お可愛らしいです。」
と言った。


「私もメイコさん以外を好きになる予定はありませんので、今後は覚悟なさって下さいね。」

それに加え、あと今夜も覚悟して下さい、と言われた。


「……やっぱりさっき言った事、取り消すわ。」

「そんな事いけません!私はしっかりと記憶しましたから!」


そう言ってしっかりと手を握るルカ。

胸の鼓動が早くなる。
繋いだ手が熱い。



「メイコさん。ずっと離しませんから。」

私は答えなかった。
けれどその答えは明らかで。

ニヤついているルカを、いつもなら殴っている所だが、今はやめておく。




ルカって案外ロマンチストなのね、という言葉を飲み込んだ。





・*・*・*・*・*・*・*・


思ったより長くなったので、途中の昔話を省きました。
まあ、その話はちがう小説で出します。リサイクル、リサイクルー

甘く…なってます?
ルカはロマンチストだと思います。だから恥ずかしい台詞とか、平気でいってのけるはず!

でもメイコさんの事は、誰よりも真剣に考えてます。
ほら、女の子同士の恋愛って風当たり強いですからね。


うわわ、あとがきも長くなった…!
でもこっちはリサイクルできないんで、省略せずにアップしますw

ではでは、ここまで読んで頂いてありがとうございました!

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あきゅろす。
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