私は君が好きなのに![テトメイ] UTAUのビルから、向かい側のビルを見ると、見慣れた赤色がいた。 自然と頬が緩むのを感じる。 私は急いでその赤色の元へ向かった。 私が息を切らせながら近づくと、赤色は微笑んだ。 「あら、テト。久しぶりね。……大丈夫?」 「ああ。走って…きたからな。」 私がそう言うとメイコは、そうなの、と笑った。 おそらく本社に仕事用の楽譜を貰いにきたのだろう。両手にあまるほどの紙袋を持っていた。 「最近、本社の方に来ていなかったのだな。あまりメイコを見かけなかった……。」 「最近忙しくて、カイトに来させてたのよ。ごめんね。」 何故忙しかったの?最近はどんな歌を歌ったの? そんな言葉を飲み込む。 ボーカロイドという世界に入れない私は、メイコと仕事の話はあまりしないようにしていた。 もし仕事の話になれば、メイコは私に気を使ってしまうだろうから。 けれど、これだけは言っておかなくてはならない…! 「メイコ。君のゲーム…やらせてもらったんだが…」 「この間発売されたヤツかしら?ありがとう。」 「その……水着は、いかがなものだろうか……」 メイコは途端に顔を赤くした。 ゲームのコスチュームである水着を思い出しているのだろうか。 「あ、あれは!スタッフが…その、無理矢理……」 「その姿をルカにも見せたんだな……」 自分の中で渦巻く、醜い嫉妬。 普段なら他人がどんな格好をしていようが、気にかける事など無かったのに。 なぜだかメイコが肌を見せているのは、嫌だと思う。 特にあのルカという女。 アイツにだけはメイコを奪われたくは無かった。 「どうしてそこでルカが関係あるのよ?」 「……嫉妬してるからだ。」 「…テトとルカって似た者どうしなのね。」 つまりルカにも同じ事を言われたという事か…… 「違う。君は実に馬鹿だな。」 「あんただって馬鹿よ。ルカの事がそんなに気になるの…?」 「……っ、私が気になるのはメイコだけだ。メイコの水着を、ルカに見られるのが嫌なだけなんだ。」 「……なんか告白されてる気分だわ。」 また笑うメイコに、さっきまであった嫉妬が薄れる。 本当にメイコには敵わない。 「ち、違う!私は心配して…」 「ありがとう、テト。でも仕事だから大丈夫よ。ルカの事もテトが心配する程、悪い子じゃないから。」 「そういう事ではなく……」 ああ!もう!どうして伝わらないんだろうか……。 メイコが鈍感なのか、それとも私の伝え方が悪いのか。 他の人にメイコが水着姿を見られる事も、ルカにメイコを取られる事も、全てが嫌だ。 けれど素直に好きと言えない自分も嫌だ。 ああ、もう…… 私は君が好きなのに!! ・*・*・*・*・*・*・*・*・ ツンデレ×ツンデレ鈍感。 テトメイ好きなのに、見当たらなかったので、自給自足です。 ちなみにテトはボカロではなく、UTAUに区分されるので、ボカロとは別の存在だとお考え下さい。 テトとルカはライバルなんだと思う。 ここまで読んでいただいてありがとうございました! [*前へ][次へ#] |