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深い夜[ルカメイ]


皆が寝静まったであろう、ある日の深夜。
私はある不可思議な台詞で起こされた。




「ルカメイ、ナイトフィーバー!!」

「……は?」

見ると私の上には、フリルの付いた透けたネグリジェを着たルカがいた。
何故か、私の方をにやけながら指差している。



「ルカメイナイトフィーバーしましょう。メイコさん!」

「…言っている事の意味が分からないわ。」

「ナイトフィーバーと言ったらやる事は一つ。……つまり、夜ばいに来ちゃいました。」

照れたように笑うルカだったが、
本当に意味が分からない。

そんな私をよそに、ルカは私がパジャマ代わりにしているTシャツを脱がしにかかった。



「ちょ、やめなさい…!」


抵抗して手足をばたつかせてみるが、なんにせよ今は深夜だ。
あまり大きな音を出せば、皆が起きてしまう。
そんな不安から、いつものような抵抗ができなかった。


しかしルカはそんな私の思いを分かっているのか、分かっていないやら…
抵抗の弱いメイコさん可愛いです、と言うだけで、一向に止めようとしない。



「ルカっ!…本当に、もう止めなさいよっ…!」

「……いやです。」

「ミク達がっ、起きて…くるからっ…」

「見せ付けてあげれば、いいですよ。」


いつものルカは、こんな風ではない。
確かに変態で、どうしようもなく強引だ。何度その大胆さに、ため息を尽かされただろうか。

けれどルカは、私の本気で嫌がるような事は今までしなかった。
それがルカの優しさだと思っていたし、それが私達二人の距離だと思っていた。


それなのに……



ベッドのスプリングが、ギシリと冷たい音をたてる。

次第に視界が歪んでいった。





「メ…メイコさん!?ごめんなさい!私、そんなつもりじゃ…」

突然ルカが、ハッとしたように手を止めた。
そして、スウェットの下にまで伸ばしていた手をすぐに離した。

止んだルカの猛攻を、不思議に思っていると、ルカがそっと私の頬に触れる。



「ごめんなさい…。貴女を泣かせてしまうなんて。私、なんて事を……」

そこで私は自分が涙を流していた事に、初めて気がついた。
その涙は、軽く触れられた指先で拭われた。

そしてルカは、私の上からおりて
座ってもよろしいですか?と聞いてから、静かにベッドの隅に、腰を下ろした。




「……ルカ。怒ってないのよ。なんでこんな事をしたのかしら?」
私が出来るだけ優しい口調を努めると、ルカは本当に申し訳なさそうに呟いた。


「だって…メイコさんたら、せっかく恋人同士になれたのに、キスすらして下さらないですし……」

「……寂しかったのね。」


理由を聞いて納得する。
けれどお互いに忙しい身だ。
二人だけで会える時間など、あまり取れない。ましてミクやカイト達に、私達の関係を知らせる気はない。

そうなると二人だけで過ごせる時間は、皆無に等しかった。



「だから、私…」


「大体は分かったわ。それは私も悪かったし……。でも脱がせる必要ないわよね?」

「それは、あわよくばメイコさんにエロい事したいという……」

「殴るわよ?」

「そういうプレイ内容ですね!大丈夫です、私メイコさん相手だったら、Mにもなってみせます!」

この子には本当に呆れる。
さっきまでのしおらしさとは、打って変わって、いつものペースに戻っている。



けれど、
きっと私は、このルカが好きなんだ、とふと思う。

どうしようもなく変態で手のかかる、寂しがりやなルカ。
どんなルカでも愛せる、だなんて言えるほど私は強くないから。

だから、いつも通りのルカが好き。



私がしばらく黙っていたからか、ルカが心配そうに覗きこんできた。


「メイコさん……?」

「私、いつもの馬鹿みたいなあんたが好きみたい。」

「メイコさん……っ!嬉しいです!」

「馬鹿みたいはスルーするのね……」


人の話を聞かず、一人で盛り上がっているルカを尻目に、
乱れたTシャツやスウェットを整えた。

そしてベッドに身を預ける。
ふわりと柔らかに、身体を包み込んでくれる感覚。


「え、メイコさん寝てしまうんですか…!?」

「当たり前じゃない。もうすぐ朝になるもの。」

「そ、そうですか……、では私は部屋に戻りますね。」

そう言って、ベッドを下りて
私の部屋のドアノブに手をかけたルカを、引き止める。


「待ちなさいよ。帰るつもり…なの?」

「え…、だってメイコさんお休みになるのでは……?」

「夜ばいに、来たんでしょう?」

「…はい。」

「だったらどうして帰るのよ。」

なんだか困惑してるようなルカを、引き寄せる。


「朝まで、一緒にいて……」

「メイコさん?」

「ほら、来なさいよ。」

そう言ってルカを自分のベッドに招き入れた。
スプリングがまた、ギシリとなった。


「ただし、眠るだけよ。明日も仕事なんだから……」

「はい!何もしないようにします……」

幸せそうに笑うルカは、何かするつもりだったのだろうか、
私の腰に手を回した。

まったく…、この子は…。


「メイコさん、私幸せです。」

「はいはい。もう寝るわね。」

「キス……して下さらないのですか?」

私達、恋人ですよね?メイコさん、と付け加えるルカ。
その顔には明らかな余裕の色が浮かんでいた。


「……しないわよ。」

「それは残念です。」



そのルカの言葉を聞いて、私は意識を手放そうとした。
ゆっくりと目を閉じる。


お休みなさいメイコさん、といるルカの声が聞こえる。
柔らかな腕に包まれる。
ギシリというベッドのスプリングの音が、もう今は遠く聞こえた。




けれど、唇に柔らかなルカの唇を感じたのは分かった。
しかし私はそれが嫌だとは、思わなかった。
その理由は明らかで……


「好きよ、ルカ。」

私は意識を手放した。







・*・*・*・*・*・*・*・

ルカメイで夜ばい…!
二人の色気とか、私には出せなかった…

結局めーちゃんは、いつものお馬鹿なルカさんが好きっていう妄想です。

ルカさんの服は下着かネグリジェか迷ったんですが、似合いそうなんでネグリジェにしてみました。

ここまで読んで頂いてありがとうございました!



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あきゅろす。
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