夜月微笑み 桜は唄う
そして、崩壊
___気づいた時には…もう、手遅れだった
ーガタッ
『…は?』
『聞こえなかったのですか?
今すぐこの城から出て行きなさい。』
急に俺様の部屋に入って言った言葉がそれだった。
少しだけ戸惑いながらも、平然を装って悪どい笑みを見せる。
『ハッ、何言って_』
『本当よシンア』
『っ!…ミル?』
今度こそ俺様は平然を保てなかった。
愕然とする俺様を見て、ふいにミルが笑った。
『私ね、リオンの国が大好きなの!!
だから…欲しいんだ』
『な、に…』
『欲しいのこの国が。だから…シンアが邪魔なの!』
無邪気に笑うミルに、俺様は初めて恐怖した
がなんとか口を動かす。
『っなら、ミルが俺様の妃になればいい!
そうすれば__』
『言ったでしょシンア
あなたが邪魔だって』
『っ!!』
何故だ
何がいけない
どうして…
『どうしてだ…』
掠れた声が口から吐き出される。
それにこの場に不自然な笑顔で、ミルがこっちに近づいてくる。
『決まっているじゃない…』
ーコツッ
__ドクンッ
ーコツッ
__ドクンッ
ーコツ……
俺様が手を伸ばせば届く範囲まで来ると、ミルは足を止めてニコリと微笑みながら……
『あなたのその、髪の色よ…。』
__ドクンッ
あぁ、ダメだ___
『__ねぇ、シンア…』
___逃げろ
頭の中でそう声が響くが、足が地と同化したように動けない。
『私、あなたの髪の色…__』
彼女は背伸びをして
俺様の耳元で囁いた
『 …大っっ嫌いなの』
何度も聞いてきた、ソノ言葉を
______アァ、壊レテイク
『な、ぜ…お前は俺様の髪の色を好いて…』
『私、綺麗とは言ったけど
好きだなんて、一言も言ってないわ』
それに目の前が、赤から黒に変わっていく。
ゆっくりと俯いた俺様に、ミルはいつも通り無邪気に笑いながら言う。
『ね、シンアは私の望み叶えてくれるよね!』
__瞬間、
ードンッ!
『きゃっ!!』
『『『ミルっ!!!』』』
俺様はミルを突き飛ばしていた。
『誰が、渡すもんかよ…』
渡さない
渡さない
ここは
"俺"の唯一の居場所だ
『この城は、この国は
俺様のもんだ!!誰がてめぇに渡すかよ!』
『ッ酷い!私はこの国のためを思って言ったのに!!!』
『っシンア、ミルになんて事を…!』
フィルがこっちを睨んでいると、泣いているミルの涙をセナンが優しく拭う
『ミル、ミル泣かないで〜?
ミルを泣かすやつは俺達が消してあげる〜」
『グスッ…ほんと?』
『うん、だから自分の部屋に行っておいで〜』
セナンの言葉に泣きながらも頷くと、ミルは部屋を出て行った。
その直後
ードスッ
『カハッ…!!』
一瞬の浮遊感の後に、襲ってくる背中と腹の痛みに噎せる。
『さて…そこの獅子殺るの手伝ってくれない〜?』
『『ハーイ!』』
『…。(コク)』
『あまり部屋を汚さないでくださいね。』
そんな事を呑気に話してから、フィルがうずくまっている俺様に視線を向けて言った。
『あなたは、ここで死ぬのです…シンア』
その時、俺様は確かに聞いた。
何かが、崩れた音を………
_____アァ、壊レテシマッタ
[眠る?」[唄う?」
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