夜月微笑み 桜は唄う
凄い光景
ーシンアSIDEー
夜、夕食の時間が近づいてきたのでフィル達と一緒に用意されているだろう部屋へと向かって遠慮なく扉を開ければ見慣れた光景…
「……。」
「「……。」」
ではなくて、思わず俺もフィル達も固まってしまった。
「おいユン、抱きついてないで運ぶの手伝え」
「い…や…っ俺、がんば、て…作った!」
デカイ男の背中にまたそいつより大柄の男が張りつくという、何とも奇妙な光景。
その大柄な男_____ユンはまるで逃がさんと言わんばかりにギュッとミコトを抱き締める力を強めた。
いや…おい、てめぇら
「おいおまe」
「あれ?双子はどうした?」
「んぁ?あぁ…あいつら仕事サボってたからまだ仕事部屋だろ」
ってそうじゃねぇよ!
「お前らいつの間にそんな仲良くなったんだ!?」
俺の純粋な疑問に皆も同じ意見なのか、頷きながら確実にこれの原因だろう人物を見つめていればそいつは苦笑いをして口を開く。
「えっと、実は_______」
「ダメ」
がしかし、喋ろうとした瞬間ユンがミコトの口を手で塞いだ。
「ひみ、つ…俺達の」
「モガモガ(何してんだ急に」
その思いがけない行動と言動に、皆一様に驚いたのは仕方ないだろう。(俺だって目ん玉飛び出そうだし)
いやだって…ユンって
(((あんな大胆な事する奴だったか?/人でしたか?/人だっけ?)))
「プハッ…さて、食事の準備が出来ましたので」
「み…な、食べ、て」
何があったか気になるが、聞ける空気でもましてや美味そうなご馳走が目の前にあるので意識がそっちにいってしまい結局頭上に?を大量に浮かばせながら俺達は席についた。
それとほぼ同時に料理がテーブルに置かれていき、まだかまだかと己の腹が鳴りそうになるのを無言で耐えていれば手伝う事が無くなったのだろうユンがトタトタと少し足早に席につく。
「今日の夕食は何ですか?」
「あぁ、さい茸のスープとヤワのパンに___」
フィルの質問に次々と料理名をあげていくミコトを何とはなしに見ていれば、ふと視界にユンが入りチラッと見てみれば
「_____…」
「!」
_______熱い眼差しで、アイツを見ていた
これは…確実に、雄の眼じゃねぇか
まさかユンがなぁ…と思っていれば、ほかの奴等も気づいたのかフィルは少し目を見開くがすぐに微笑ましそうに笑みを浮かべ、セナンはヒューッと口笛を軽く吹きながらニヤニヤと二人を見ていた。
ミル以上の反応だろこりゃあ…(あいつの時はこんな眼してなかったし)
「一体、何したんだアイツは…」
そんな俺の小さな呟きはそっと部屋の空気に溶け込んで消えた_______
ーシンアSIDEendー
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