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夜月微笑み 桜は唄う

ーキュッ



「ッ!!」

「…私に何かようですか?



ユンさん」








荒く息を吐きながら廊下の角を曲がると、目の前に彼がいて慌ててスピードを落とした。







ちらり…と様子を伺うように見る俺に、ニッコリと彼は笑うけど、なんだか作り物に見えて逆に怒ってるように見えた。








「ッ…あ、………れ?………な、んで…」










俺は何をしたかったんだろう…









彼にあって………それで?










しかし、彼は俺の言葉を違う解釈をしたらさしく







「あぁ…先ほどの事ですね?」









それに慌てて否定しようと俺が口を開く前に、彼は告げる。







「気にしないでください。」

「ぇ…?」

「ただ私は…


貴方の"それ"が嫌いなだけなので。」










ードクンッ









『ユン兄なんて_____!!』









一瞬あの時と景色が被り、胸が締め付けられてズキズキと痛みを訴えてくる。








「ッな………で………そん、な…」

「それです。

なんで貴方はそんな風になったんですか?」

「え………?」








苛立ち気にそう言った彼の顔は、笑みを消して無になる。








「なんでもう数日経ったのに、貴方のその口はあの夜から何も変わってないのですか?」

「そ……なの……、ッおれ…が、ばって…!」










頑張って、喋ってるよ


ちゃんと、相手に伝わるように努力して__









「嘘をつかないでください。」

「ッう、そ…ちが…っ!」

「嘘でしょう?だって貴方…








私達以外の方と喋りませんよね?」













____え…?







彼の言っている事がよくわからず戸惑っていると、ジッと金色の瞳で俺を見つめた。









「あの日から、貴方が私達以外と喋るのを私は見たことありませんね。」

「ッ!!」

「貴方は恐れてる、過去にあった出来事を。






…私達は、貴方の言葉が"足りなくても"わかりますからね?







シンア達は、ずっと貴方と一緒にいたのなら当たり前に貴方の喋っている事は大体わかります。


私も理解できます。







だから、貴方は私達に依存した。







自分の、中途半端な言葉を理解してくれる人に依存した。」











やめて、もう…








そう思って見つめたのに、彼は俺の考えがわかるのに、止まらなかった。










「貴方…その口はなんの為にあると思っているのです?

その口は自分の意思を、気持ちを、相手に伝えるためにあるのですよ。



世の中に、どれほど喋りたくても喋れない方がいるかご存知で?」










彼の目が、細まった。








金色が、鋭い剣のように、俺をえぐる。












「…お前が"光"に何を言われたか知らないが、もうそれはいないんだ。






俺達を、"あいつ"代わりにするな…甘ったれが。」

「ッーー…!!」













[眠る?」[唄う?」

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