夜月微笑み 桜は唄う
努力
ーグニャリ…
急に視界に映る全てが歪んだ。
少しそれに気持ち悪くなり、埃などこの際気にせず床にしゃがみ込む。
ーハァハァハァハァ…
静かな部屋の中で、異様に自分の荒い呼吸が響いた。
「ハァハァ…ッお、かけ……なぃ…と!」
ようやく静まった吐き気に安堵する時間も惜しく、俺は何故そう思ったのか自分でもよくわからなかったが兎に角追いかけないといけない気がした。
ーバタンッ
立ちくらみがするが、それすら無視して部屋からでると当然だが彼はいなかった。
けど、俺は犬だから…匂いで場所がわかる。
ー…スンスン
「!こ、…ち」
彼の残り香を素早く発見すると、その方向へと全速力で走った。
___どこ? 彼はどこ?
親を探す子供のように忙しなく色んな所を見ながら走っていると、長い廊下の先にあった螺旋階段を見つけ、バタバタと下りて行く。
すると、丁度紫色が広間の廊下を曲がったのが見えた。
「!!」
み、つけた!!
ートンッ スタッ、タタタタタッ!
勢いよく螺旋階段の真ん中に飛び込むと、足を痛めないように気をつけて着地をし、また走る。
急げ
急げ
彼が、行ってしまう。
[眠る?」[唄う?」
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