夜月微笑み 桜は唄う
ユンの考え事
ーユンSIDEー
昔から、俺は話すのが苦手だった。
最初は何とか伝えようとしたが、いつも仲間に"何を言っているのかわからない"、"とろとろしすぎ"と言われ続けて…それがとても怖くて苦しくて……益々話す事が少なくなった。
しかし、彼女…ミルは違った。
『無理して話さなくてもいいのよ!
私はユンの気持ちわかるから!!』
無理してるって気づいてくれた…それだけで、俺は嬉しかった。
ミルの屈託ない笑みに、光に、救われたんだ…。
だが、ミルは光とは正反対の人だった。
ミルは光の姫じゃなく…闇堕ちだった。
闇堕ちは、俺達獣人達にとって悪で、倒さなきゃいけない奴で…
でも、俺はそれでもよかった。
例えミルが何者であろうとも、俺に光をくれたのはミルなのだから
そう思ってたんだ…………だけど、彼が言った言葉が
『犬族よ
お前は忠誠を誰に誓った?』
あの言葉がどうしても、頭から離れなかった。
『お前は、それでいいんだな?』
"あの人"の言葉と 彼の言葉が
頭の中で響いて_______
『___私、間違ってわよね!?』
うん、間違ってないよ?間違ってない。
でも、声が出ないんだ。
『……もうイイワ』
あぁ…早くしないと、早く伝えないと
『__ミンナミンナミンナ!!!!』
俺の光が、唯一の光が
『消エテシマエエエェェ!!!!』
消えてしま______
「_____ユンさん?」
「ぇ?……ぁ………」
突然名前を呼ばれて、ハッと声の方向を振り返ると……"彼"がいた。
「こんな所で何をしているんですか?」
「ぁ………ぇと、……し…りょ…」
「…資料を探しているんですか?」
「(コク)…へ……や………なぃ…」
そうだ…皆の足手まといになりたくなくて、過去の資料を見て覚えようと資料室を探していたけど…探しても見つからなくて……。
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