夜月微笑み 桜は唄う
仕事はコツコツと
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ーシンアSIDEー
カリカリカリカリとペンを動かす音が部屋中に響き渡る。
最初に音をあげたのは、ロロララだった。
「「う〜〜〜!!!」」
「…ほら、ロロにララ手を動かしてください」
「「だってーー!!」」
「…ふー…全然終わらないね、これ〜」
「…確かに、終わりませんね」
「あぁ…」
…あ?なにしてるかって?そりゃ勿論…大量の書類やらに埋れてんだよ。
それはもう部屋中が紙だらけになるくらいのな(遠い目
しかし…
「まさか、こんなにも溜まってるなんてなぁ…」
それに、皆即頷いたのは言うまでもないだろう。
__あれから三日が経ち、その間に色々な事があった。
国王民会後ミコトを見に来ようとする城下町の奴らが大勢で城に乗り込んできたり、何故か調理場でミコトが料理長達と争ったり…
って全部あいつ絡みじゃねぇか!!!
一人心の中でツッコミを入れていると、フラフラと見るからに疲れているユンがいたので思わず声をかけた。
「ユン、あー…大丈夫、か?」
「…(コクコク)」
「あまり無理してはいけませんよ?あなたは元々これをする役目ではなかったのですから、不慣れなのは当然なのですからね?」
ユンは元々、ヤンレイの側近だったからな…
初めての作業に戸惑って余計に疲れているのはわかっているんだが…
「こ、れ……ぉれ、せ…き……に……や、る」
とまぁ、本人もこう言っているから俺は止めない。
フィル達もそれに一言かけてから作業を再開した___
ーコンコンッ… カチャ…
「失礼します、焼き菓子を作ったので皆さん一度休憩にきませんか?」
数時間は経っただろうか?シーンと静まり返ったこの空間を壊したのは、ノックの音と共に中に入り焼き菓子とティーを運んできたミコトだった。
「「やったー!!」」
「もう俺ヘトヘト〜」
「いいですね、そうしましょう。」
「あぁ」
俺達の了承を得たミコトはカチャカチャと丸い机に小綺麗なカップや菓子の入った皿を並べていく。
それに俺達が全員席につくと同時に、ミコトはカップに飲み物を淹れていく。
「どうぞ、セナンさん」
「ありがと〜」
「どうぞ、ロロさんにララさん」
「「わーい!ポパイジュースだ!!」」
「ユンさんはココアですね?はい、どうぞ」
「…あ……、が…と」
「"フィルは紅茶だよな?はい、これ前言ってたやつ。買っといたから"」
「え、そんな!わざわざすみません…ありがたく頂きますね。」
「シンアはいつも通りコーヒーだな?」
「……あぁ」
淹れ終わった後、俺は何気無くこの菓子について聞いた。
「今日の菓子はなんだ?」
「今日はチョコ菓子にしてみたんだ。焼きたてだから火傷すんなよ?」
「はぁ?俺はガキじゃねぇよ!大体てめぇはいつも____」
ーガチャンッ!
「「熱っ〜!!!」」
俺が続きを言う前に、ロロララ兄弟が突然叫んだ。
どうやら、舌を火傷したらしい(ガキかこいつら…)
それに呆れたように見ていると、いつの間に移動したのかミコトはロロララ達の側にいた。
__気づいたかも知れないが、さっき聞いたようにミコトはあれから俺とフィル以外には"敬語"で話すようになった。
疑問に思った俺は即座にあいつを呼び出して聞いてみたらあいつはただ一言。
『俺は"信用できる奴"にしか本性を出さないんだ』
それに少しムッとしたが、ミコトの言い分もわかる。
誰しも自分があまり知らない奴を早々に信じる奴などいないだろう。
それに、なんとなくだが…ミコトは俺を基準にして考えてると思う。
俺に害を与えたか否か
フィルは予測だが俺が眠ってる時に、ミコトの信用を得たのだろう。だからあいつは俺と同じく敬語じゃない。
…あいつらと仲良くしてほしいとは思う…だが、俺は手を出さない。
これはあいつらと、ミコトの問題なんだからな…俺の出る幕じゃねぇ。
静かに意識をこっちに戻すと、俺はただ作り笑顔でセナンにお代わりを淹れているミコトを見つめた。
ーシンアSIDEendー
[唄う?」
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