夜月微笑み 桜は唄う
暗き森の逃走者
ーNO.SIDEー
「…ハッ!…ハッ!…」
ーザッザッザッザッ
__クソックソッ!
_夜
<リオン>の国境近くの森の中、一人の男が必死に走っていた
ーザザッザザッ
ーザザッザザザッザザッ
"二人の男"に追われながら…。
「っハッ!…ハァッ…!」
ーザッザッザッザッ
__っクソが、なんで俺様がこんな目に!
『初めまして、かな?私の名前はー』
__なんで…
『私、あなたの髪色…ーー』
___なんでだよっ!!!
『あなたは、ここで死ぬのです…"シンア"』
ーヒュンッ
「ッイ!!!」
ードサッ……
男_シンアが足を見ると、太ももにナイフが刺さっていた。
少しでも前に進もうと後ずさりをすると、背中にあたる硬いモノ。
チッ!…後ろには木、前には…
「あーやっと、捕まえた〜」
「追いかけっこはお終いだぁ」
ひひっと笑うと、ザクザクと茂みから男が二人出てきた。
__コイツら、か
「ってめぇら、俺様が誰か知ってのことー」
「知ってるよー…'リオンの王様'?」
「っ…」
「ははっ、いや今は"元"王様かな?」
そう笑いながら、男の一人が剣を抜きシンアに近づく。
「チッ…!?」
シンアが無理やり立とうとしたが、体に力が入らず動けない。
「な…」
「無駄無駄〜蛇族の神経毒で体が麻痺してるんだもーん」
男はゆっくりと剣を振り上げる。
「さようなら?
元王様!!!!!!」
クソッ…ここまでかよ!!___
男がシンアに振りかざした、その時___
ーザザァ…
「なぁ…」
ービュンッ
「!?」
ーザザッ! カキンッ! ドンッ!!
「クッ…!?」
「何してんだ…
お前ら」
凛とした声が森の中で響いた。
シンアは唖然と、突然現れたフードを被っている(わからないが体格的に)男を見ていた。
__あの蛇族暗殺部隊の、しかもセナン直属の部下どもを蹴り負かしただと!?
「ッケホ…あんた誰だよ?
……邪魔しないでくんない!!!」
蹴り倒された男は立ち上がると、怒りで顔を歪ませたまま、今度はフードの男に向かって剣を振りかざす。
ーキンッ ガッ
フードの男はそれを剣で受け止めると、男に回し蹴りを放つ。
「ッー!おい!」
「あぁ!オラァ!!!」
その蹴りを男は受け止め、もう一人の男がフードの男に斬りかかる。
〔…"風"よ〕
「「ッ!?グハッ!」」
しかし、男が一言呟くと彼等と男の間に突風が巻き起こり、男達は吹っ飛ばされた。
は、あ?っ"無詠唱魔法"だと…!?
シンアがフード男がやった事に驚いていると男達が警戒しながら立ち上がる。
「ッお前…何者だ…!」
「俺か?俺は…
通りすがりの迷子だ」
テン
テン
テン
「「「…はぁ?」」」
この瞬間、初めて息があった三人であった。
ーNO.SIDEendー
[唄う?」
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