夜月微笑み 桜は唄う
ー動き出す時ー
ー100年後ー
ーNO.SIDEー
ガヤガヤと賑わう夜
<始まりの聖地>向かって、八人の獣人が歩いて来た。
「チッ…何故俺様が毎年毎年、こんな桜木の下で祈らなきゃなんねぇんだ!」
七人の中で先頭を歩く<黒い髪>をした獅子の男かイライラしながらそう言い放った。
それを聞いて、後ろを歩いていたクリーム色の髪を一つに束ねているしたカナリアの青年が苦笑する。
「仕方ありませんよ。特に今日この年はあの'光の姫'がこの地に降り立つと言われている丁度100年後なんですから。」
「でも〜それって只の言い伝えでしょ〜?
せっかく今日は美人な人達とお茶会しようと思ってたのに〜」
と、肩まで伸ばした濃い緑色の髪を弄りながら蛇の男がそう言うと…
ーヒュンッ!
「おっと…も〜う、危ないでしょ〜
狼の王様?」
蛇の男がいた場所には、剣を横切りした体制の狼の男がいた。
ウルフカットの灰色の髪、鋭く蛇を睨む目は髪と同じく灰色だった。
「…次は外さん」
静かにそう言うと剣を鞘に戻した。
「お〜怖い怖い」とわざとらしく蛇が腕をこすっていると
「ほら、そんな所でじゃれてないで早く並びなさい。
"セナン"に"ヤンレイ"」
いつの間にか彼等以外はもう'王桜'の下に集まっていた。
「「わー!セナン悪い子だー(笑)」」
「俺は悪くないって〜」
「……。」
「アハハ!ヤンヤン怒られてるぅ」
「…"キョウ"静かにせんか」
「さっさと来い!俺様を待たすんじゃねぇ
!」
そうして、八人の王達ー"七王剣"が王桜の下に集まったその時ー
ー****…
「ッ!!?」
何かが聞こえ、獅子の男か反射的に桜木を見上げたその瞬間に、突然王桜から眩い光が溢れ出し、その光が四方八方に飛び散っていく。
「なっ!?」
「これは…!」
「ッ!!」
「「えっ!?」」
「ッマジで!?」
「わーおぉ!!」
「なんと!!?」
七王剣が驚きの声をあげると、強い光が辺り一面をおおいつくし、咄嗟に皆目を閉じた
すると段々光が弱まっていき、皆がゆっくりと目を開けると…
「「「「「「「「ッ!?」」」」」」」」
そこには
赤い髪をツインテールにして、静かに佇む女がいた。
皆が目を前の光景に呆然としていると、彼女がゆっくりと目を開けた。
「…初めまして、かな?
私の名前は"ミル"
皆から光の姫って呼ばれているの!
よろしくね!」
にこり、と彼女…光の姫は笑った。
ー彼女が現れたのと同時刻ー
ーヒューーーーン… ドゴーーーン!!!
「!?なっなんや今の音!」
「表の方からよ!ちょっと見てくるから、
"リン"見てな!」
町外れの小さな小屋
その中から一人の女性が出てくると、そこには…
「!そこの人、大丈夫かい!?」
小屋のすぐ近くに大きな穴が出来ていて、中には男が倒れていた。
「……ッウ!」
彼女の問いかけに、男が動いたが痛いのか声を押し殺したような音が聞こえただけだった
「ッあんた!人が倒れてる、手伝いな!」
「なんやて!?リン、ここで大人しゅうしときや」
小屋から女性の夫が出てきて、妻と一緒に男を担ごうとしたその時、男が目を開けた。
「!あんた、大丈夫かい!?」
「ーー……****」
「え?ちょっ、あんた!」
男が何かを呟いたが、すぐに気を失ってしまった。
「どないしたんや?」
「いや、この人が何か言って…ッ!!」
「どないし…っ!?」
夫婦が男をベッドに寝かした時、二人は息をのむ
「この耳…この人、<人間>だよ」
「え、けども人間って髪が黒色やねんやろ?
この人…
"紫色"やで?」
「でも、耳が私達と違うだろ?」
「せやけど…この人、一体何もんなんや?」
「うわー!綺麗な紫色…」
夫婦が男を見たが、やはり起きてはおらず、
リンが髪を弄っているのにも関わらず、スヤスヤと眠っていた……。
…………『__……ただいま』
『おかえり…"姫"』
ーさぁ…
………止まった<時>が
…………………………動き出すー
ープロローグ終ー
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