夜月微笑み 桜は唄う 順風満帆、よし出陣! ーNO.SIDEー 草木眠る丑三つ時 リオンの王城にて 「フアァ…たく、門番なんてかったるいな」 現れたのは____ ービュンッ 「っな、なんだ!…ぁ」 ードサッ… 「…行くぞ ……………………………作戦開始」 《「あぁ/了解」》 _____三つの影 闇夜に紛れる者たちのうち鳥影の方は夜空に、残り二つの人影は城の屋根に登り、足音を極力小さく走る。 軽やかに屋根から屋根へと跳びながら、スピードを落とさず走っていた二つの影はピタリと同時に止まると、片方が指をさす。 「…あそこか?」 「あぁ」 その指差した方向にある場所は__王の寝室 ーサッ… ースッ… 確かめあった二つの影は静かに頷くと、腕を横向きに前へと出す構えをすると、カウントダウンを始める。 「「3…2…1」」 最後の秒を数え終わると同時に___ ーダンッ! 「「ぅぉおおおりぃイイイヤアアア!!」」 ーガシャーーン!!!! 二つの影は、勢いよく屋根を蹴りその寝室の窓を突き破った。 「きゃっ!なっなに!!?」 窓の破れる音に寝室で寝ていた女は飛び起き窓を見ると、二つの人影がいることに気づいく。 「ッキャーーー誰かぁああ!!!!!!」 すると女は、この城にいる人全員に聞こえるんじゃないかと思うくらいに大きな声で助けを求めた。 ードタドタドタドタああバンッ! 「「ミル!!」」 「いったいどうしっ__!」 「ッ!?」 「ッあなた達、何者です!!?」 すると、女___ミルの叫び声に気づいた者たち__七王剣とその他一名が扉を開け、部屋の明かりをつけると窓の近くにいる彼らに気づき警戒する。 全身を黒いマントに包みこみ、顔は同色のフードをかぶっている為見えない。 しばらくの沈黙の中、ゆったりと黒ずくめのうちの一人が前に出てきた。 「…へぇ?まだそんな経ってねぇが、一緒に国を支えてきた同士をもう忘れたのか …てめぇらは」 どこか嘲笑的にそう言うと、顔を隠していたフードを脱ぎとる。 窓から射し込む月光が、彼の顔をゆっくりと照らしだす。 その顔を、その髪を見て、七王剣達は驚愕した。 「______ッシンア!?」 「…!」 「「あんた、死んだんじゃッ!」」 「…ハッ、この俺様があんな雑魚共に負けるとでも?」 「へ〜………どおりで、部下達から連絡とれないと思ったら…」 「生きてたの〜」と、緑の髪の青年__セナンは目を爛々と光らせ、殺気を露わにする。 「っどういう事よ、セナン!!こいつ死んだんじゃなかったの!!?」 彼らが混乱している中、ガンッと何かを蹴る音が部屋に響く。 「「「「「「ッ!」」」」」」 「てめぇら、さっきからごちゃごちゃうるせぇんだよ…」 ゆらりとシンアの目が彼らに向くと、クリームの髪の青年__フィルランドとセナンはミルを守るように立つ。 彼らは知っていたのだ シンアの"あの目"の意味を 何度も、近くで見てきたのだから。 「…てめぇら、俺が、なんの為にここに来たのか…わかってんのか?」 静かにそう問うシンアの雰囲気に呑み込まれそうになりながらも、彼らは無理やり口を開く。 「ッ知りませんね」 「「もう、この国はミルのモノだもん!」」 「…(コクコク)」 「そうそう〜…もうここは君の居場所じゃないんだよ〜」 「そっそうよ!」 セナン達が自分の味方だと思い勇気づけられたのか、ミルが声高々に喋りだす。 「もうこの国は私の国なの!! アンタみたいな気味の悪い黒髪なんかがいる所じゃないのよ!!!!」 「ッなん__!」 「そこまでですよ、シンア」 「「「「「「!!」」」」」」 シンアが抜刀しようとした時、今まで気配を消していたもう一人の侵入者が鞘を持ってる方の手を止めた。 「ッ」 「私も彼らに言いたい事があるので… 落ち着け…な?」 もう一人____ミコトがそう言うと、シンアは舌打ちをしながら少し下がった。 それを見て、セナンがジッとミコトを観察しだす。 「……ねぇ、さっきからいたけど君誰なの?」 「あぁ、そういえば自己紹介がまだでしたね。」 今気づいたという風にそう言ってから、ミコトはフードを取る。 ーパサッ… 「「「「「「!!?」」」」」」 「初めまして…」 その顔を見た瞬間、シンア以外の者たちが全員息を呑む。 「私、シンアの"友達"のミコトと申します。」 「以後お見知り置きを」とミコトはまるで一流の執事のように綺麗なお辞儀をした。 __まるで、舞台のはじまりを告げるかのように ーNO.SIDEendー [眠る?」[唄う?」 [戻る] |