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夜月微笑み 桜は唄う
月夜で
ーミコトSIDEー


しばらく静かに月を眺めていたが、ふと肩に重みを感じ見てみると…疲れたのかシンアが俺の肩に頭を預けて眠っていた。







それに少し笑うと、目を閉じる










《___…ミコト》










その声を合図に目を開けると、そこにはもうシンアも月も何もない。







あるのは





真っ暗な闇と







淡く光る桜木と








その桜木に寄りかかる___赤い髪の女









腰まである赤を緩くカールさせ、髪と同じく赤い目で黒の空を眺める姿は心なしか憂いを帯びていた。








それをぼんやり見ていると、ふいに彼女がこちらを向いた。








「…ミコト、何を考えているのかしら?」

「何が?」

「とぼけないでくれます?
私はあなたの"心片"だって事、おわかりかしら?」

「じゃあ、俺が今何を考えているのかわかるだろう?…紅」







苦笑する俺に紅の顔が苦しそうに歪んだ。








あぁ…そんな顔、させたい訳じゃないんだけどな…







「っミコト、"あの人'"の事はもう…」
「それは無理だ、紅」








俺はあいつの事を忘れない





いや、忘れられないんだ







「だからって!彼をあの人の身代わりに」
「身代わりなんかじゃない

シンアは…あいつじゃない」








それぐらい、ちゃんとわかる




ただ…






「俺は…シンアを怖がらせたくないと思ったんだ。

向こうの世界でも、この世界でも、

何百、何千と血をかぶってきた俺が

初めて、恐れたんだ」









それこそ、あいつを失いそうになった時と同じくらいに








「これが何なのか…俺にはわからないんだ。

ただ…守りたいと思った。」












あいつと違い、脆くて弱い彼を…









「それは…」

「…あぁ、大丈夫だ紅









俺は、あいつ以外を好きになる事はないよ」







だって…









あいつは俺にとっての







水であり







酸素であり







生きる意味だったんだ










それがないのは、辛くて苦しくて泣きたくて悲しくて…死にたくなる








けど











あいつが言ったから












____













だから、生きてやるよ










たとえこんなに息苦しくても




たとえあんたがいなくても











「俺は…生きるよ……」











それがあんたの最後の言葉であり、望んだ事なんだから_____







ーミコトSIDEendー







[眠る?」[唄う?」

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あきゅろす。
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