夜月微笑み 桜は唄う
いないアイツ
ー???SIDEー
待て、と言う間もなくシンアはどこかに消え去ってしまった…。
ッあいつ熱がまだ治りかけなのに、もし今昨日の奴らと出会ったら…!
「アース!」
《わかってるっつうの!》
アースが飛び立つのを見てから、目を閉じて森に住む精霊達に呼びかけた。
「…すまない、黒髪の獅子の男を一緒に探してくれないか?」
ーザワザワザワザワ
ーいいよ
ーわかった
ーその子なら南の方角に行ったわ
ー俺、鼻良い
「っそこに案内してくれ!」
そう言って、キラキラと光る玉が飛んで行く方へ走り出した。
__________
______
ータッタッタッタッ…
「ハァッ、ここか?」
道案内の先にあったのは、河原みたいな場所だった。
「っシンアはどこだ?」
しかし、探している奴は居ず辺りはただ川のせせらぎしか聴こえなかった。
すると、前方から何かが近づく音が聴こえ目を凝らして見つめていると…
ーバサッバサッ!
《ミコトッ!!》
「アース!?」
先に行っていたはずのアースが猛スピードでこっちに迫ってきた。
「ッおい、お前が戻ってきたってことはまさか…!」
《そのまさかだよ…
黒髪…シンアが、昨日の奴らに攫われた》
「ッ!」
悪い予感は見事的中した。
「あいつは、シンアはどこに連れて行かれたんだ!」
《それがわかんねぇんだよ!そいつらを追いかけてたら、急に何かに弾き飛ばされたんだよ!》
「なんだと!?」
《多分、シールドか何かだと思う…畜生、ご丁寧に臭い消しまでしやがって!》
「くそっ!」
なんで、あの時無理にでも止めなかった!!
そしたら____
《…ミコト、今考えるのは過去を悔やむ事なのですか?》
思わず苛立ってしまう俺を鎮めるように、紅の声が聞こえる。
「!…いや、今はあいつを探す事に専念する。」
ありがとう、紅
《お礼はいいので、早く探しなさい》
紅のその言葉に頷くと、俺はまた精霊達に呼びかける。
「皆!まだ時間は余り経っていないから、そんなに遠くには行けないはずだ!
すまないが、探すのを手伝ってくれ!!」
先程と同じように突然のお願いなのにも関わらず、了承してくれる精霊達に礼を言ってアースの足に捕まると勢い良く足が地面から離れていく。
凄い風圧を感じながらも、頭の片隅でさっきからずっとシンアの言葉が頭の中で反響している…
『ってめぇも、か…』
なぁ…シンア……
どうして…
『!近づくんじゃねぇ!!!!』
どうして、そんなに___
『ッどうせてめぇも__』
泣きそうな顔をしているんだ…?
ー???SIDEendー
[眠る?」[唄う?」
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