夜月微笑み 桜は唄う
変な男
俺様はこれまであった事を、まるで他人事のようにペラペラと話した。
全てを話し終えた後にはフード野郎は無言だった。
そりゃそうだよな?
他国との同盟を破棄した挙句、仲間だった奴らに命狙われて尻尾巻いて逃げだしたなんて
そりゃ呆れるだろうな?
…あぁそれか、光の姫様に逆らった愚王だと罵るか?
そんな事を考えていると、いつの間にかフード野郎が目の前まで来ていた。
さて、お前は何を言うんだ?
怒りの言葉か?
哀れむ言葉か?
それとも……
「泣くな…」
ふわりと暖かい温もりが体を包む
それにギクリと体が強張る
「な、に言って…」
「泣くな」
泣くな?
誰が泣いている?
「…ハッ、目が悪ぃのか?俺様は泣いてな_」
「泣いているだろ」
早口にそういうとフード野郎はあろうことか俺様を抱き締めたまま寝転がった。
慌てて腕から出ようとするが、熱のせいか体に力が入らない。
「…離せ」
「嫌だ」
「離せ!」
「俺は眠い」
「んなの知るか!いいから離っ_」
「おやすみ」
ガキを宥めるように頭を撫でると、数秒で男は寝た。
「ッなんだってんだよ」
目頭が熱いのは、きっと熱のせいだ…
男が言った言葉は
「っ……」
俺様に"嘘をつかせる"言葉だった…
ーシンアSIDEendー
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