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R&C-薔薇と冠-


意味不明な言葉を口からこぼして、重たい目をこじ開ける。
目を開けると、同い年くらいの少女が私の顔を覗き込んでいた。

「意識は、…はっきりしているみたいですね。安心しました」

薬の香りのする女の子だった。
顔の比率に合わない大きな眼鏡を無理にかけて、肩でどうにか引っかかっているセーターもブカブカだ。

「……お、はよう…」
「はい。おはようございます」
「ええと、」

なんでわたしは今この子にあいさつをしたのだろうか。
いや、とりあえずわたしは起きたばかりなのだから会った人に朝のあいさつをするのは当然なのか。

朝、かどうかすらわからないけれど。

そうだ。
わたしはどうして。
いつ。
ここは。
わた、し。

いっぺんのことが頭を巡って、よくわからなくなってしまう。

「え、と…」
「私は、怪我の治療をしただけですから、何も知りません」

言葉が出なくなってしまったわたしに、女の子はさらにわからないことを言った。

「慶春羹(けいしゅんこう)と申します。薬師を生業としているので何かあれば頼ってください。名前は呼びやすいように呼んでくださってかまいません。あと、ここは広いので迷わないように気をつけてくださいね」
「う、うん」




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