R&C-薔薇と冠-
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「怪我をしたくないのなら大人しく三人とも投降するんだな」
「待ってよ!この子は関係ない!ただの通行人だ!」
「『ただの通行人』ならもう逃げた。その娘は、匂うな」
「ユリア…っ、キミは!!」
色々な声が耳を掠めて通り過ぎていく。
わたしは自分の肩を両手で抱え込んだ。
体が熱い。灼けるように熱い。
わたしは、ダメなんだ。
無理なんだ。
シシアがいないと抑えられない。
熱いのに体はガタガタと震えている。
わたしはそれを両手で必死に押さえつける。
だめ。いやだ。また。いや。いやなの。やだ。やだ。やだ。やだ。やだ。いやなんだ。
カラカラの唇からは意味不明な呟きしか落ちてこない。
動悸が激しい。
汗が、涙が石畳を湿らす。
また。
そう、『また』だ。
シシアがいないと、『また』、『出てきてしまう』──
──ほら、無駄なんだよ。君は──
「やだぁああああ…っ!!」
──欲望に忠実なんだ──
銃声と紅い『声』が、同時に聞こえた。
The next rose blooms...
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