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チルチルとミチル(完)



丁寧に巻かれた包帯に正面から受けた拳を思い出す。

親父に武装色習っててよかった。

そうじゃなきゃ今頃、俺はここにすらいられなかっただろう。

でも。



『俺の見つかった場所を教えてくれ』

「…二、三日は安静だよ」

『教えろ…!』

「……はぁ…分かった、怪我が治ったらセルティに…『手遅れだったらどうすんだ!』…静雄」

『…悪ぃ』



心配してくれてるのが分かる。

あっちで過ごして俺よりも力の強い男もいたから、段々力の制御もできるようになった。

言い方は悪ぃが、この世界を捨てる。

そう思ってたのに、いざ帰って来ちまうと…やっぱり、「帰ってきた」と思っちまう。


ここが俺の生まれ育った場所。

俺の居場所。

家族も友人も居る。

仕事だってある…絆も、世間との繋がりも。

恩も責任も。

でも。


黙った俺に一言ベッドから出ないようにと医者として忠告してきた新羅は、部屋を出てった。

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あきゅろす。
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