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チルチルとミチル(完)
2

sideーアイスバーグー


シズオが目覚めて数日、漸く俺はシズオをベッドから出してやった。

抱っこでだがな。

過保護だって?ンマー自覚してる。

こいつが本当は二十代だってことも分かったというか、こいつに聞いたから理解してるもののどうしても甘やかしてやりてぇのは変わらねぇ。

実際、まだ立たせてないしな。


いつもより低い視線だからか情けない顔をしてやがる。

可愛いし。

本当に大人なのか?お前は。



「今日は皆と一緒に食事しような、シズオ」

『うっす、あいすばーぐさん』

「…ンマー相変わらず可愛いなぁ、お前」

『…』



眉間にシワを寄せている顔も可愛い。

あー…俺、子供できたら子煩悩になるの確定だなこりゃ。

呂律は回らねぇわ細っこいわ。

こいつの話によると異世界から来たらしいことを、数日の間で理解した。

お互いに探ってった感じだがな。

言葉は同じでもシズオは文字が読めない…というか、ワノクニみてぇな漢字を使ってた。


他は…説明するのも面倒だし省くが。



「おはようございますっ、アイスバーグさん。坊主」

「ンマー、おはよう」

『ん…はよぅ、ぱうりぃさん』

「(エンジェルスマイルキターッ!俺今日は頑張れる気がする!!)おう!」



廊下でスキップすんじゃねぇ!って怒鳴りてぇ…が、シズオが驚くようなことはしたくねぇからな。

後で仕事増やしとくか。


…まぁ、分かるだろうが。

シズオはガレーラの癒しになっている。

堅物のパウリーですらメロンメロだ…何かの実を食ってるのだろうかと思うくらいに。

ンマー…フェロモンか?



「おはようございます!アイスバーグさん!」

「ンマー…おはよう、ルル。相変わらず寝癖凄いな」

『るぅさん(ルル)はよぅ』

「おはよう、シズオ!」

「おはようございますアイスバーグさん」

『るっちさん、はっとり!はよぅ!』

「おはようシズオくんっクルッポー」

「おはようございます、アイスバーグさん!」



挨拶の代わりにルッチが頭ぁ撫でてやがる。

最初は何でか警戒してたみてぇだが、今となっちゃ一番シズオになついてるな。

皆…俺も含めだが、こいつにゃ敵わねぇ。


不意にルッチが膝をつく…あぁ、シズオの笑顔にやられたのか。

ルッチの後ろには、カク。



『かくっ!』

「おー!おはよう!ちゃんと挨拶できたのう!」

『!』

「「「グッ…」」」

「ふ、不意打ちはキツいんじゃが…」

『ん?』



悔しいが、今は命の恩人であるカクにだけ向けられる、無邪気な笑顔に揃ってダメージをくらう。

ンマー…ルッチ、お前前屈みだぞ。



If I have helped you.
(私が君を助けていれば)

Your smiling face was turned only to me!
(その笑顔は私だけのものだったのに!)



「ふふんっ羨ましいじゃろう?」

『?』

「(((カクの野郎…!)))」

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