[携帯モード] [URL送信]

チルチルとミチル(完)
I do not change.

※もしも情報屋が一緒にトリップしてきていたら…



快晴だね。

まぁ…ほんの一瞬前、俺は夜の池袋に居た筈なんだけど。

んで…なんで俺は静ちゃんを助けているのかな?



『あー…冷たいし、最悪』

「げほっげほっ!!」

『っ汚いなぁもう…』

「あ?…てめぇ、ノミ虫…」

『…ねぇ、気絶する最後の言葉が悪口ってなに?死ねば?』



助けてやったのにさ。

なんてしてる間に腕を引かれて水から助け出された。

ホントは静ちゃんなんかどうなったって構わないんだけど…今、俺の本能はコイツと一緒に行動してた方がいいと告げる。

危ない橋は何度か渡ってきた…今は勘を信じよう。



『悪いんだけど、助けてくれないかな…困ってるんだ』

「おう、良いぜ!取り合えずヤガラに乗れよ!ガレーラカンパニーに連れてってやるからさ!」

『…ヤガラ?』



なんだ、このファンシーな生き物…馬でもないし魚でも勿論ない。

それにこの恰幅のいい男、少なくても新宿では見たことないし…ガレーラ?俺の知らない場所が…?

あぁもう。どうでもいい、取り合えずこの服が乾いて情報が入る場所があれば。


ヤガラに乗りながら周りを見渡す。

見たことのない建造物…聞き慣れない単語、どうしてこうなった…静ちゃんに止め刺そうとしただけなのに…。

耳をすませ…情報を集めろ。


あぁ…嘘だろ。

ガレーラカンパニー…島ってどういうこと?

ここは日本じゃない?それ以上に、世界規模で違う?

だって世界に海賊はいない…ウォーターセブンなんて造船の島なんか、存在しない筈。

…そんなの流石の俺だって分からないさ。



「ンマー、見事な濡れネズミだな」

『俺たち無一文なんですけど…それでも面倒見てくれますか?お礼ならまた今度、必ずします』

「困ってんだろ?」

『…ありがとうございます。私は折原臨也。…よろしくおねがいします。市長の…アイスバーグさん?』

「…俺を知ってるのか?」



警戒されてしまった。

ということは何かしら裏の業界に通じてるのかな?

それともそれを警戒してるのかもしれない…どちらにしろ俺には情報が少ない。

俺の唯一の生き甲斐で、武器の。



『残念ながら聞いただけです。…私はただの情報屋ですから』

「情報屋…オリハラ・イザヤ…聞いたことねぇな…」

『そこら辺は後で話しますから…』

「あぁ、そうだな…」



ここでも俺のやることなんか変わらない。


シャワーを浴びて服を借りる。

静ちゃんが怪我してる…俺が仕掛けさせたってのは勿論ふせてあるけど。

先にそっちの様子から見てくるようだ。

…何気なくそこら辺にあった本を開く。

言葉は日本語なのに…文字は英語?

意味分かんない。


予想に確信が合わさっていく…正直信じられないけど、どうやら間違いない。


異世界か…面白い!

最高だ、考えてみれば池袋よりも日本よりも世界規模で常識が違うんだから!

あのバケモノまで一緒に来たのは正直不愉快だけど。

それさえ目を瞑れば、この世界から俺の知らないことだらけだ…フフフフッ…!



『あぁ、俺の頭が正常なら愉快なことこの上ない…』



この世界の人間はどういう風に俺を楽しませてくれるんだろう…この世界はどんな知識を俺にくれる?

あぁ、楽しみだなぁ…楽しみだなぁ…!

今日を含めて二日はここにお世話になろう…情報を仕入れるまでそれくらいはかかるだろう。

静ちゃんが目覚めないうちにここを去らなきゃ。

タイムリミットがあるなんて益々やりがいがあるよ。

そうしよう、どうしてやろう…。



『フフフッ…』

「ンマー、なに笑ってんだ…お前」

『楽しいからですよ?』

「…まぁ、いい。お前、何者だ…それと、あの男は…」



知らない世界で敵を作るなんて自殺行為…慎重に、慎重に。

右手にナイフを忍ばせて、ゆっくり話していく…ここは異世界、俺の知らない情報が溢れ返っている危険で楽しいパンドラの箱。

あぁ、楽しみだなぁ。

取り合えず、俺の話術はどこまで通用するのかな?


違う世界に馴染みすぎだって?

そんなの構わない…人間の企みと人を動かす感情と愛と愛のある限り、ね。

あぁ、狂ってるなんて言わないで?

俺は、君だって愛してるんだから。


I do not change.
(私は変わらない)
It does not change, wherever I may be in.
(例えどんな場所にいたとしても不変だ)


ただ人間を愛してるだけさ。

[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!