チルチルとミチル(完)
I have forgotten to buy underwear.
今日はマルコと買い物。
ずっと借り物だったり元のバーテン服だったりした俺を見かねて、買ってやると強制連行。
親父に金を借りちまった。
ウォーターセブンのヒモ野郎とは俺のことだ。
はぁ。
「いいの見つかったかよい?」
『あー…俺、こういうの苦手で…』
「…。じゃ、俺が選んでやるよい。そん中で好き嫌い決めりゃ良いだろい?」
『…すんません』
「よいよい」
結局自分で選んだのはYシャツと黒のズボン、ベストだけ。
最近はこの格好しかしてなかったから逆に違うのを選べなかった…そんな俺に苦笑いしては服をポイポイ篭に入れていくマルコ。
は、早くて選べねぇ。
しかもこんなに買うのか!
『ま、マルコっ!』
「あーあー却下だよいっ」
『せめて聞けよ!』
「遠慮の言葉なんかいらねーよい」
服を入れた篭は既に四つ目。
店の中はてんやわんやの大忙し。
そりゃそうだ…グランドラインってのは四季がそれぞれ違うらしい。
俺は何にも持ってねぇんだから。
「篭ごとに袋分けろよい?」
「か、かしこまりましたぁあああっ!」
結局、6袋にもなっちまった買い物。
着せ替えはサイズあわせの最初だけで、疲れてはない…けど、こんなにも多くなるとは思わなかった。
マルコすげぇ。
その決断力とセンス…金銭感覚まで、バッチリって…モテねぇ筈がねぇよな。
『あー…何か腹へった』
「カフェにでも寄るかよい?」
『ケーキ食いてぇケーキっ!』
「ククッ…賛成だよい…」
一瞬目尻が下がって少しだけ目元にシワができる。
あぁ、優しい顔だなって思った。
俺も多分笑ってる。
昔新羅に言われたことがある。
俺は鏡だと。
怒りには怒りを、優しさには優しさを。
写す鏡だと。
だから今、俺笑ってる。
「お待たせいたしました、ご注文お決まりになりましたか?」
「あ?…あぁ。じゃあココアとチョコケーキ…」
『じやあ俺もココアとシュークリームとショート』
「かしこまりましたー」
暫くすればケーキと飲み物が小さなテーブルに並べられる。
川の音と甘いもの…至福過ぎて頬が緩まる。
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