チルチルとミチル(完)
な
『………?』
「ンマー…気がついたか?」
『…こ、こは?』
ぼんやりしてた視界がゆっくり鮮明になっていく。
視界にチラツいた空の色に自然と顔を向ければ、そこにはファンキーな髪色をしたおっさんが座っていた。
白い壁に、磯の匂い…どこだ、ここ。
「橋の上から落ちたそうじゃないか…俺の部下が偶然通りかからなかったら、お前…死んでもおかしくなかったぞ」
『…ども、ッス』
「おー」
二カっと笑った顔が、似てねぇのに何かトムさんに似てる気がして…俺は安心したのかそのまま眠った。
また目が覚めてからもそのおっさんは、食事を用意してくれたり色々と世話をしてくれた。
仕事のことを思い出して慌ててケータイで連絡を取ろうとしたら水没したせいで電源すら入らなくて…電話を借りようとした時から、おかしかった。
俺の知らない何かうにょうにょ動くものを差し出され、戸惑う。
「でんでん虫」とかいう生き物が粘波でどうのうこうのう…難しいことは分かねぇけど…。
市長さん…あぁ、俺を助けてくれたおっさんは「ウォーターセブン」の市長やってる偉い人らしい。
その人が言うには、ここは別の世界。
じゃなきゃ記憶喪失とか妄想癖とか言われたが、何となくそういうことに落ち着いた。
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