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チルチルとミチル(完)



腕も腰も足も細いし。

あぁ、指も細かったな…勿論、男にしてみれば…だけど。

ただ常に覇気を纏ってるようだったから…ただ者じゃないのは分かった。

でもそれだけだ。



「あらら、久しぶり」

『…どうも』

「で?地面ばっかり見て何してんの?」

『ツチノコ探してるんッス』

「は?ツチノコ?」

『親父のおつまみに』

「つまみにっ?」



俺はその後何回も接触を試みた。

それでも何も起こらない。

世間話をしてさようなら…おじさん寂しいよ?

無視されてるみたいじゃない。

タイミングが悪いのか噂が誇張されたものだったのか…いや、報告書偽ってんなら厳罰モンだけど。

俺はそんなのどうでもいいけどさ。

だって処理とか書類とか面倒だし…お偉いさんってのも大変なのよ。本当。



「お、ここにも超絶美人が…って、シズオじゃない」

『眼科行ってからセクハラで捕まればいいと思うッス』

「…前半だけはちょっと考えてみようかな」



まぁ、適当に海軍に危険があるか調べたいとか適当な理由をつけて時々様子を見てたんだよ。

ストーカーみたいだって?

あらら厳しい…でもそれなら俺の対象は全員犯罪者ってことになるじゃない。

ってまぁ、冗談はさて置き。


俺は今珍しく自分から報告書を書いてる。

今まで調べてきたこと、本人から聞いたこと…彼は俺のことを知ってる。

何回目かに会った時に不死鳥マルコから聞いてたシズオから、騙してたのかって言われた。

その時。

職業柄、平気な筈だった痛まない心が少しだけ疼いた。


俺は氷だ。

正義という名の絶対零度。

決して溶けることも砕かれることもない己の正義を。

少しだけ、少しだけ震わされた出来事を…何度も書き直して。

ともすれば小説家みたいに見えるかもしれないその報告書を見直してはまた書き直す。

あー…俺ってこんなに仕事熱心だっけ?なーんて。



『海軍?海賊?関係ねぇ、俺がぶっ殺すっつったらメラッと殺す!!』

「ひいぃっ…」



クズなんてどこにでもいるもんだ。

面倒なことに海軍ってのは力の象徴みたいなモンだからね…ったく。

セクハラくらいまでに止めておけば見逃してやるものの。



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あきゅろす。
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