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チルチルとミチル(完)


俺たちが俺の状況を理解して話し合って決めたことが二つ。

一つは俺が違う世界から来たことは、本当に信頼できる人間にしか話さねぇこと。

一つはもし何か分からないことがあったら記憶喪失だと言うこと。


違う世界だと言われても海賊だって木の船だって、最初は何もかも信じられなかった。

ノミ虫野郎の差し金だろうとか…最初から疑ってかかっていた。

それが分かっていたんだろう市長さんは、書類作成を終わらせては三日間できるだけ町の中を連れ歩いた。

食べ物や洋服や価値観、見るもん全部珍しくて使い方もわかんねぇやつが沢山あった。

仕事の後ろを着いて回っただけで、世界の違いが分かった。


一日目は混乱してた。

二日目はただ見ていた。

三日目に現実味を帯びてきて。

元の世界に帰れるのか怖くなった俺は思わずその場から走って逃げ出しちまった。

そんな俺を見つけてくれたのが、今目の前で笑ってる市長さんの部下のカク。


「お前さんがシズオか…ワシはカクじゃ!」

『……わりぃ…』

「アイスバーグさんが心配しとったぞ」

『…ん』



爺さんみてぇな喋り方だし落ち着き払った雰囲気に年上かと思って暫くカクさんっつってたんだが…。

ガレーラ、だっけか。元の場所に戻る時に話して同い年だと分かった。

カクがじゃあ呼び捨てで構わないし話し方も楽にしてくれて良いって言ってくれたから、そのままタメ口に変えた。




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あきゅろす。
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