log ★CanniBaL - LisM(フラベル) 闇で覆った廃虚に悦楽の溜め息。 散らばる血痕と肉片だらけの一室には、 愉しく悪趣味な食事中の王子様。 と、自分。 紅く染まった金髪が呼吸に合わせて揺れ、 狂気映すその瞳には同じような“赤”。 細い腕に抱き抱えられた“中身”は、 躊躇することなく口へと運ばれる。 指先を滑り生まれた赤い線。 焦がれるようにソレに舌を這わせる。 その華奢な四肢の何処にそんな力があり、 何処が“人”と違うのか知らない。 唯、隅々まで充満した鉄の臭いは、 余りにも強くて込み上がる吐き気と涙。 バラバラと無惨な人間だったソレ等に、 少しばかり同情せざるを得ない。 初めて見た 奇行 。 純粋過ぎる乱気は流石に気分が悪い。 そう。 純粋だからたちが悪いのだ。 ひたすらに血を追う彼の姿は、 無邪気とも言えてしまいそうなほどで… 「 。」 ふいに何かをポツリと呟く声。 少しばかり抵抗しつつも視線を上げると 口元を赤に染めた先輩が笑いかけていた。 「…なんか、言いましたー?」 「今お前さぁ゛…。俺の事、気持ち悪ー、異端ー、化物ー、とか思ってんだろ゛?」 「よく分かってるじゃないですかー。流石天才って言われるだけありますね。」 「ばーか。クソガエルっ。」 口をヘの字に歪ませての暴言。 やっと気味悪い晩餐は終わったのか、 フラリと立ち上がり此方に近付いてくる。 「俺は狂ってなんか無いんだけど?唯、一次的欲望…つまり、食欲に素直なだーけ。…わかる、単細胞?」 「はあ…、そうですかー。」 「だからさぁ…。もういい加減、そういう目で見るの 止めろよ 。」 ふと頬に触れた冷た過ぎる指先。 スルリと目の下に移動した綺麗な親指が、 脅すように強くギシリと爪をたてる。 「次、そんな目で王子見たら、目ん玉抉り出して今度はお前、食ってやるから。」 「悪趣味…」 「うしし、どうも。」 そう言ってナイフを投げると、 ズプリと嫌な音をたて標的へと刺さる。 否、元標的だった肉片へと。 おぞましい事にその一刺しによって、 漸くその命は絶たれたようだった…。 Cannibalism( カ ニ バ リ ズ ム ) それは“禁忌”だけれど… もし貴方に食べられてしまったなら、 グチャグチャに溶けて一つになったなら。 その狂気を知る事ができるのだろうか? [*前へ][次へ#] [戻る] |