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夏の色恋(山獄)


「あっぢー…」



教室の机に突っ伏す髪を
窓から入る生暖かい風が揺らす。

首筋を流れる汗に妙な気持ちになる。

暑い暑いと連呼する相手に笑いかけて、
暑さで大して働かない頭を使い
白いスペースを文字や数字で埋める。



「そこ…、違う…」


「あ…」


「さっきも言ったじゃねぇかよ。」


「あはは。悪い。」



両手を合わせてふざけて謝ると、
怒ったのかそっぽを向いてしまう。


あ…

このアングル…、凄く可愛いわ…



「そもそも俺は関係ねぇーのに、何でこの暑い中、お前の補習なんかに付き合わなきゃなんねぇーんだよ」


「なんか、とか言うなよ」


「なんか、だろ。こんなのも出来なくてどうすんだよ、バーカ!」


「ひっでぇーの…」



相変わらずツンとして肘を付き
窓の外を眺めて居る。

グラウンドからは、
野球部が練習している声が聞こえる。



「お前は部活出なくていいのか?」


「ん?ああ、補習が優先だしな。本当は野球やりたいけど…」


「好きだな…」


「まぁ、な」



肯定すると顔が険しくなった気がした。

気に触ることを言っただろうか?

会話を1から思い出してみても、
当てはまる理由は見つからなかった。

暫く一人焦っていると、
隼人が顔を合わせないまま喋り出す。



「俺は?」


「え?」


「俺も野球より下、なのかよ…」


「…ッ!?」



予想外な理由に吃驚したし、
何よりそんな嫉妬心は可愛いすぎる。

反則だなぁ…


そして綺麗な形の顎を引寄せ繋がる。



「…ちょ、おい…何して…、だよ…!!」


「俺の一番は隼人だから。」


「はぁ!?」


「野球なんかより、ずっと大事だぜ?」


「…っ、…そうかよ……」



顔を真っ赤にさせた隼人が可愛くて、
また額に軽くキスを落とす。

何時もなら鬱陶しがって払われるのに、
今日は静かに受け入れていた。

機嫌が戻ったと思っていいだろう。

俺のこんな台詞で機嫌が良くなるなら
どんな恥ずかしい言葉も発せる気がした。





夏の色恋

(愛してるぜ)
(…ばーか、速くやれ)






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