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青い世界
体育が好きだ。どの教科の中でも、一番と言っていいくらい。
体を動かす事は苦じゃないし、楽しい。
バスケとかサッカーとか。いろんなスポーツが出来るし。
でも、一つだけ。嫌いな種目がある。
 


始業のチャイムが鳴った。それと同時に更衣室の中の人間は皆、慌て始める。

「おい、早くしないか!」

体育の教師。こいつはあまり好きではない。
中にいる生徒に一喝して戻っていく。
そして俺たちも、夏の暑い日差しの下に行った。

外に出てまず初めに思うこと。塩素臭い。この独特の臭いが嫌だ。
そう。俺は水泳の授業が大嫌い。
塩素が入った水の中で泳ぐ事も嫌だし、着替えは面倒くさいし、何より――

「榎本! 何立ち止まってんだ。さっさと進まんか!」

「……すみません」

俺は泳げない。高校生にもなって情けないが、進むのはせいぜい15mといったところだろうか。
本当は体育選択でバスケをやりたかったのだが、圧倒的人気だったためにくじ引き。
くじ運が無い俺は外れを引いて、水泳の授業になってしまった。

途中立ち止まりながらも何とか25m泳ぎ切り、プールサイドへと上がる。
俺を抜かして泳いでいったやつらは、もう2本目を泳いでいる。
バタ足によって跳ね上がった水は、太陽の光によってキラキラと輝く。

スタートに戻り、水の中にゆっくりと入る。
気温が高いせいか、水までもが温められて温水プールのような状態だ。
ゴーグルを目に当てる。視界が少し青くなる。
思い切り酸素を吸い込んで、水の中に潜る。

「――……」

水の中は何も聞こえない。青い青い世界。
手の先から足の指まで、ピンと一直線になって進む。
手と足を左右対称にゆっくりと動かす。
伸ばして、曲げて。伸ばして、曲げて。
酸素を求めて上へと上がる。

「あおり足になってるぞ」

一瞬聞こえた先生の声。
再び水に潜る。
プールの中にはいくつもの酸素の粒。
息を吸うたびに出来る波紋が、水底に映って広がっていく。
キラキラ、キラキラ。
青い、綺麗な世界がどこまでも続く。


気付くと手に壁が当たり、25mの終わりを告げる。
一度も止まらず泳ぎ切った事は初めて、だろうか。



俺は体育が好きだ。でも水泳は嫌いだ。

それでも俺は、この青い世界が大好きだ。


後書き

意味の分からない文で申し訳ないorz
この前体育で水泳だったときに書きたいなーと思い、衝動的に書いたモノ。
プールはいいよ! タイム計るのは嫌だけど!←


10.09.05.Sun

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あきゅろす。
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