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巡り巡る
ある地下にある、一軒の喫茶店。
道もわからなくなるほど広く、入り組んだ地下にあるこの店に辿り着けた者はキセキ……いや、運命という名の鎖によって導かれたのかもしれない。


一人の少年が、喫茶店に辿り着く。彼はこの地下に迷い込んで、偶然、見つけてしまったのである。
石畳から続く小さな階段を一歩ずつ踏み締め、扉の前に立つ。
普通の大人ならば入れないかもしれないが、彼ならすぐにくぐることができる。

「いらっしゃいませ」

彼を迎えたのは、ここの看板娘だった。
娘は彼を、この店にただ一つしかない席へ案内する。
彼は浅く腰掛け、メニューは? と尋ねる。

「生憎、当店にはメニューは一つしかございません。煎れたての珈琲をお持ちいたします」

そう言って娘は、店の奥へと消えて行った。残された彼は、ぼんやりと店内を眺める。
ヨーロッパ調のテーブル、アジア風な椅子、アメリカらしい置物。
喫茶店の中は様々な国のもので埋めつくされていて、不思議な雰囲気が漂う。

「お待たせいたしました」

娘が珈琲を持って来た。煎れたての、とても熱い珈琲。
彼は猫舌だから、ミルクと角砂糖を二つ入れ、ふうふうと冷ます。湯気がなくなったら、飲み頃だ。
彼が珈琲に口をつける。甘く、少しほろ苦い。
全て飲み干すと、彼はすっと四本足で立ち上がる。

「もうお帰りですか? またいらしてくださいね……猫さん」

娘がそう言うと、猫は短くにゃあ、と鳴いて、足取り軽く去って行く。長いしっぽを、ゆらゆらと揺らしながら。



後書き

はい、駄文失礼致しました!!orz

これは部活の県大会で「15分で絵に沿った小説を書け」というお題が出され、書いたもの。
著作権などの問題で絵は出せませんが、とても美しい絵でした!!
文は少し修正してますがほぼ同じように書いてます。
ちなみにオチ決めたのは猫舌あたりです
10.08.26.Thu


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