真面目な委員長?
絡まれ
9時50分に家を出て久世に駅まで送ってもらう。変に思われないようにリムジンではなく、セダンの最新だ。久世個人の車。
助手席から降りて運転席にいる久世に話し掛ける。
「帰りの電車で連絡する」
「はい」
ドアを閉めて待ち合わせで有名な駅の時計台に近付く。
そうすれば数人が携帯片手に睨み合ったりしていた。多分待っているんだろう。
俺もベンチに座り携帯片手に翼を待つ。
少し経てば翼の声が聞こえた。学園外では絶対出したくないと言っていた親衛隊隊長声の高い声が。
軽く見渡せば目が合った女から目を逸らされた。え、何コレ。
「ちょっ!離してよ!」
また視線を巡らせば数人の男に囲まれる翼がいた。
きっと女に間違えられたんだろう。元が中性的だし、服装も女でも着れる様な格好だ。
余り絡まれていても可哀相なのでベンチから立ち上がって翼に近付く。
「いい加減にッ、…日和!」
「人気者だね」
「んだてめぇ!」
翼から早く何とかしろと言う視線がビシバシ送られた。
きゃー日和さん怖ーい。
すみませんすみません、ふざけてすみません。
「お前らが絡んでる奴の連れ」
「あ゛?彼氏か?」
「まさか!俺は男とは付き合わない主義」
傍観するのは大好きだけどね。
彼氏って…翼が顔顰めたよ。確かに彼氏は嫌だけどそこまであから様に嫌がらなくても。
「「お、男?!」」
「さっきから言おうとしてるのに、遮るから…」
ダッシュで逃げる男共。
「大変だな翼」
「学園より疲れる」
学園は親衛隊がさりげなく翼を守ってるからな。
「早く行かないと売り切れるんじゃない?」
「日和行くよ!」
改札口に小走りで向かう翼の後に続く。
朝から疲れるな。
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