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真面目な委員長?

車から降りて軽く伸びをする。
変な体勢で寝ていたのか、肩や首が痛い。



「日和、俺家に戻る」

「あ、おう」



服を引っ張られ見れば俺より低い身長の翼が見上げながら言ってきた。



「明日10時に駅だからね」



翼はそれだけ言うと、俺の家と翼の家の間に建つ塀を乗り越えていった。

明日はイベントと言うものが行われる。うん、同人誌発売だ。
俺は取り合えず、チェック済みの田中×上条様を発売するサークル目当てだ。
翼は片っ端から気になったやつを買うらしい。



「家の方に入りましょうか?」



久世に言われて目の前にある玄関のドアを開ける。
開ければ春休みぶりの家の中。

取りあえず、顔出しも兼ねてリビングに向かう。俺の鞄を俺の部屋に置きに行った久世がリビングにいるとか言ってたからいるだろう。



「ただいま」

「…おかえり日和」

「………」



俺の言葉に返事をしてくれる母さん、無言で俺を一瞥する親父。絶賛喧嘩中な親二人。
喧嘩中と言うかなんというか…二人は何で結婚したかと問いたくなるほど仲が悪い。

俺が初等部に上がって2年程まではたぶんまだ仲は良かったが、今ではずっと仲が悪い。
タチが悪い事に、表じゃ仲のいい夫婦、裏じゃ仲の悪い夫婦だ。
離婚しても良いぐらいなのに、何故か離婚をしない。



「じゃ、顔出ししただけだから」



リビングを出て、自分の部屋に戻ろうとすれば“日和”と親父に呼ばれたので足を止めて振り向く。



「後で話がある」

「……どうせ家の事だろ?」

「ああ」

「姉貴見たいに家はでてかねーよ。だから話す事はない」



俺は有無を言わさずリビングを出る。

6歳年上の姉貴は“一生こんな家に戻らない!”とか叫んで高校卒業とともに家を出て行った。
当時中等部1年になったばかりの俺は全寮制になったのを良い事にやんちゃをやった。学園側は退学させようか悩んだけど家の力で捩じ伏せた。金の力は凄いって改めて思ったよ。今はその時に比べて大分大人しい方だろう。


ニ階の自分の部屋に入れば鞄が既に置いてあり久世が置いて行ったんだろう。





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