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人魚の恩返し
俺はスコーピオンのミロ
今日はシュラと海釣りに来てる


朝から全然釣れなくて飽きかけていた時、誰かが捨てた釣糸に絡まったかわいそうな魚を発見した




「あ━━ッッ



「……どうした?」



「シュラ〜見てよ、そこのちょっと出っ張ってる岩場のトコ
釣糸が絡まった魚が打ち上げられてるんだよっ



「ん?………あ!本当だ。
……どうしたものか??」



「どうしよう…助けてやる??
でもあそこだと、いったん腰まで海に入って歩かなきゃ行けないよなぁ…

今の時期寒いし……
着替えなんて持ってきてないし…
…もしかして、もう死んじゃってるかもしれないし



「だよな……。
申し訳ないけど…」



…………



「しかし
見たことあるような無いような魚だな…結構大きいしブリじゃないか??」



「へー、ブリか〜ということは結構出世してきたって事だな



「お、知ってるねー
じゃあ、問題な!ブリの稚魚ってなんて言うか知ってるか!?」



「へぇー……わかんね



「ふふふ。正解は、

モジャコ、って言うんだよ!」




「モ…モジャ子




…モジャ子



モジャ………



モジャ………




……モジャ子






何だろう、急に親近感が……



「ミロ、どうした!?急に真剣な顔して」



「先生っ



(せ、先生!?)
「…な、なんだ!?」



「モジャ子さんを…、
モジャ子さんを救ってあげましょう




・・・と、いうことで



俺、スコーピオンのミロは
パンツ一丁という非常に萌え〜な格好で(元)モジャ子さんを救出するべく秋の海に突入した



ジャバジャバ…



ジャバジャバ…



う〜〜
さみぃ〜〜



ジャバジャバ…



おー、いたいた


「大丈夫か〜??」


よしよし


「お前、若い頃モジャ子って呼ばれてたのか??
可哀想に、さぞかし辛かったことだろ〜」


なでなで…


「俺もな、実はこのくせ毛のせいで6つも7つも年下のガキから『紫のモジャモジャ』とか『モジャ郎』とか呼ばれて毎晩枕を濡らしているんだよ…

俺たちさ、いい友達になれそうだよな??………な



よしよし…



「痛かろう、いったん陸にあげて、糸を取ってからまた海にリリースしてやるからなもう少しの辛抱だぞ

よし、担ぐぞ


せ〜の……


よっ と




ジャバジャバ…




ブリを担いで堤防まで戻って体に巻き付いた糸を取ってあげた



………



………全っ然動かない



「コイツ、動かないな…。残念だが多分もう……」



「……そうか



と、その時






どろんっ





「うわっ何だ





ブリが……





女の子に





「ウホッ



……ハッ
思わず老師バリのお下品なリアクションを取ってしまった…orz


そんなリアクションにも動じずモジャ子は寝息をたてて眠っている


「シュラブリが女の子になったぞしかも硬いスクール水着みたいの着てる…w
こりゃどういう事だ



「いや、俺にも解らない…
…………あ!」



「なになんか思い出した



「こ〜の子、アレじゃないか!?
マーメイドのテティス!!」



「誰それ、知り合い??」



「前にカノンから話を聞いた事がある…海底町に魚から人に変身できる子がいるんだーって」



「うそ〜
じゃあ、多分その子だな
魚から人間になれる女の子なんて…きっとなかなか居ないもん

人間に出世するなんて…ねぇ
そんな出世魚…聞かないもんねぇ」



「ああ。
……で、この子、どうするか…
全然目を覚ます気配もないし…」



「ていうか、このモジャ子が本当にテティスって子か確認する必要があるよな



「確かに!そうだな、カノンに写メでも送るか。んで、テティスちゃんだったら、海底町の誰かに連絡取ってもらって、そしたら家まで帰せるもんな」



「さすがシュラキレるね〜
カプリコーンのシュラは頭も聖剣エクスカリバーっ☆



「ははは、よせよ、照れるよ*
…さて、じゃあ、携帯で写真撮るぞ」



濡れたまま眠っている女の子を
携帯のカメラで写すなんて……



エロいぜ……



最っ高にエロティック
…おっと、小宇宙が燃えてきてしまった





…………



やりたいな…



その役俺がやりたいな…




………




「あ━━━━━━っ



ビクッ



「!!!
な………なんだよっ!」



「シュラお前、携帯の機種、古くない



「……あ〜。
古いっちゃ古いのかな?…でも機種変更してからまだ1年しかたってないぞ?」



「古っ
古いよ〜、それダメだよ〜画像汚くて顔がよく見えなくてカノンが解らなかったら…?

そうなったら
総てが水泡に帰すよ…?」



「なんだよその余計な言い回し…
でも、うーん…確かに。画像が汚くて誰か解らなったらか意味ないもんな…
ミロ、お前の携帯のが新しい?」



「うん、俺バリバリ最新機種



本当は2年前の最新機種
でもそれは秘密



「じゃあ…写真係やってもらってもいいか?悪いな〜」



「仕方ないなぁ今回だけだぞ」



フフッッ
ちょろいぜ







さぁてと、や・り・ま・す・か



パカッ



カメラモード ON






じーーー。





ははははw
イイイイ〜ね


濡れた髪、薄い色素
ピンク色の唇


モジャ子、
あんたセクシーだよ


シュラのエクスカリバーをかすって髪の毛がほどけた時のムウの次にセクシーだよっ
…そう、アレは不動の一位なの





カシャッ-☆



カシャッ カシャッ-☆




よし、完了
良く取れたな

秘密のフォルダに保存して、保護しておこう
ごちそう様でした



さあ、コレを
カノンに送ればイイのかな



「シュラ〜
撮れたんだけどー




『……そうそう、だから、ミロからメールいくかも。
……え…、何?』




あ、電話中か




『……あー、あそこ?魚介豚骨だよ!美味しかったよ!
………あぁ、
………あぁ。
あ〜あのねぇ
あの、コンビニ!サンクチュの道があるだろう?そう、広い方!その道を真っ直ぐ行って……』



……なんか
すっかり話し込んでる
しかもラーメン屋の話かいっ



カノンに送るメール、作っとこうかな



………にしても


秋の大海原に
無謀にもパン一で突入したから…俺、今かなり寒い
正直ガクブルですよガクブルきっと唇が紫色になっちゃってるよ…
恥ずかしいなぁ


………


モジャ子は寒くないのかな
風邪引いたら可哀想だよな



…さっき俺が脱いだシャツとズボンしかないけど、きっと無いよりかマシだよな
掛けてあげよう…



バサッ



……チャリチャリーン-☆





「……あ」


ポッケの小銭が出ちゃった


拾って 拾って


せっせ
せっせ





…………ん




…………うおお




モジャ子の胸元に50円玉が着地しているではないか…



そりゃないよ50円玉さんっ

え…君を拾えって

いやいや無理ですって




………




じーー。



………



神よ…
あなたが与えたこの試練…
ありがたく乗り越えさせていただきます
少しくらいおっぱいに指がヒットしても咎めないで下さいね??
勢いでお山に手を当てても咎めないで下さいね??極力気を付けますけど…





そ〜〜〜。




俺はしゃがんで奇跡の50円玉に手を伸ばした


と、その時




…ぱちっ





「………お…お、おう」



モジャ子が目覚めた



…………



「………?」



「コ…コンニチハ



「き…きゃぁっ!!」



「あ………



「裸!!しかも今!
私の胸を!
触ろうとしてたっ!?」


「違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う



「左手!
カメラ!?」



「こ…これ
違う、これは写メ送ろうと



「しゃ…写メ!!」



「違う違う違う違うよ、変な意味じゃない



「へ…………変態っ!?」



「ちが



「いやぁぁぁ━━っ!
変態っっ!!」



バチンッ


あでっ
(ビ……ビンタ)



バチンッ


おだっ
(しかも……往復っ)




うう……






『ああ、じゃあ、またな〜!』


ピッ


「ミローーー!写真撮ってカノンに送った〜!?
……って!お前!!
どうした!?」



「シュ……シュラぁぁ〜っ







・ ・ ・

「………と、いうことだったんだよ。驚かせてごめんな」



シュラお兄さんが
全てを説明してくれた



「そうだったんですか…
失礼しました…
それなら、仕方ないですね…。」



「ったくよー俺の優しい気持ちはシュレッダーにかけられたみたいに粉々だよ
身も心もズタボロだよ



「……でも、でもアンタ絶っっ対どさくさに紛れておっぱい触ろうとしてたでしょぉっ!」



「失礼なするかよそんな事
……ふんっ
…なかなか鋭い女だ



「嘘よ!疑わしいっ!
……ふんっ!」



「まあまあ、2人とも!その話はもう止めよう??
陽も傾いてきたし、今日はもう帰ろう」



「…ああ



「…はい。」




テクテクテク




「じゃあな、人魚姫
また糸に引っ掛かってても次は絶対助けないからな



「むっ…うるさいわね〜
望むところよっ!じゃあね!くせ毛男さんっ」



ザバァッ




こうして
美しい飛び込みフォームで
モジャ子ことマーメイドのテティスは去って行った…






「はぁ〜あ…。疲れたなぁ〜






………ん




………あれ、何か落ちてる




………しなしなの封筒だ
何か書いてあるぞ







叩いてごめんなさい
糸を取ってくれてありがとう
シャツとズボンを掛けてくれてありがとう







…………




アイツ………










…あ
中に何か入ってる……





ガサガサ











………お











こ…これは



















…………










おしまい

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