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忠犬の日常
犬の眠り

(竜人視点)

・・・こいつ、相変わらずどうなってんだ。

『30分後に寝ちゃうからお説教は今のうちにお願〜い』

部屋帰ってから風呂やらなんやら寝る準備完璧にやってからそんなことを言ってきた。

そして本当にきっちり30分後の今。
庵は机に向かったまま目の前で爆睡してやがる。

本人曰く、ブラックコーヒー飲んだ直後の1時間は完全に目が覚めるがそのあとは意識がなくなるらしい。
・・・というか眠ってしまうらしい。

ホント変なやつ。

ブラックコーヒーで寝てるときは何があっても起きることが出来ないとも話していたっけ。

起こさないようにとか、何の配慮も遠慮もなく庵の顔を覗きこんでみた。

「・・・やっぱり、お前もか。」

案の定、目の下が黒かった。
・・・最近風紀委員の殆どが目の下が黒い。

こいつはくまが出来にくい体質らしいが出来てしまってる。
よっぽど疲れてるんだろう。
ちゃんと自分で休息を取ろうとするあたり、自分の立場をよく理解しているんだろうけど。

俺としてはそんなの関係なく無理はしてほしくないけど。

それにしても、こいつが部屋にまで仕事を持ち込むのは珍しいな。
見た感じ、委員長がやってたヤツも何個か混じってるし。

・・・まさか委員長にもくま出来てたのか?
それで庵の奴が委員長を休ませるためにやってんなら想像つく。

あの人たぶん誰かがとめないと倒れるまでやりそうだし、判断的には悪くねーけど。

・・・自分のペースを壊してもあの人に無理させたくねーのか。
そんなに飼い主は大事なのか。


俺は


お前が大事なのに。


無理なんてしてもらいたくねーのに。


はぁ。やっぱりあのクソ偽善者をどうにかするしかねーか。
庵のためにも。この学園の生徒のためにも。

・・・とりあえずこいつベットに運んで帰るか。

人形のように美しい無表情で眠る庵を儚く思いながらベットの上にそっと寝かせた。

「どうかお前が壊れてくれませんように。」

・・・せめてお前が俺を頼ってくれますように。


そんなことを願いながら庵の部屋を後にした。



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あきゅろす。
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