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過ギシ記憶 出逢いの刻


あの時…、我は油断していたのやもしれん。

我が力の前に尚も怯まない女いるとはな……。


「なんだ?人をじっと見て。」

『貴様は誰だ?』

「人に名を聞く時は、自分から聞くものだろう?…………まぁいい、私の名は双天だ。お前の名は?」


そして、双天と名乗り我と同じ質問をした。


『我は焔だ』

「違う。」


何が違うのだ?
我が首をかしげると双天は溜め息を吐いた。

「その器の人の名だろう?」

『!!』


驚いた。
コイツは我と焔を別の『ヒト』として見ている。

『なぜそう思うのだ?』
「焔はお前みたいに威嚇してこない。寧ろ、人との関わりを避ける。」


確かに……。
我が主は、我のせいで幼い時から孤独だった。
そのせいか、人との関わりを避け続けている。


「お前からは、ただ警戒しているだけだ。」

『………………』


何故?何故だ!!
疑問が我が中で生まれる。


『何故だ。貴様は我が恐くないのか?』

「あぁ、恐くない。」

『何故だ!我等は、異端な者だぞ!人とは違う!!』

「だからどうした?」

『なっ!?』


そんな言葉が還ってくるとは思っておらず、言葉に詰まった。


「私の夢は、お前たちのような者や頑駄無達が活きていけるような世界にしたいんだ。」


我が質問に双天は淡々とハッキリとした口調で答えた。

『そんな事信じられる筈がない!』

「私もお前と同じ力を持つ。それ故、それを狙う者もいる」

尚も、淡々に言う双天に我は押し黙った。


「だからこそ、同志を集めている。〔   〕よ、私の力になってはくれないか?」

『!』

双天は教えてもいない我の名を言った。
焔の名ではなく、我の名を――――――








あきゅろす。
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