笑顔の幸せ
「世渡は好きな奴いないのか?」
『……何を言っているのですか。』
「んーだってさぁ、世渡だって恋したいでしょう?」
『いえ。まったく』
「えー!?そんな人生つまらなくない?!」
『でしたら……仕事をしてください。』
「えー。」
純は不満そうにしながら、書類を貰う。
小生は、そんな幸せになってもよい者ではない。
世渡は思った。
忍びである限り自由に恋などできない。
「いつになったら、世渡にも、笑ってくれるんだろうね」
『?純様?』
儚く呟く純に世渡は首を傾げた。
「ちゃっちゃと仕事を終わらせて、遊ぶぞ!」
『純様は、何故小生を傍らにおいてくださるのですか?』
「何故って………似ているからだよ。僕にね。」
『純様。』
「僕が変われたんだからきっと、世渡も変われるよ!まぁ、変えてくれる者を見つけなくちゃだけどね♪」
『今は……』
「今は、それでいいよ。でも、その時が来たら逃げるなよ。」
純は、世渡の頭に手を置き、軽くなでる。
『……………はい。』
世渡はその行為に黙って従う。
誰か、彼女を幸せにしてくれ。
彼女は、誰よりも幸せにならなきゃならない!
僕の大切なたった一人の家族だから。
幸せは誰にでもある権利。
彼女の幸せを誰よりも望む青年。
ただ儚く時間は凪がれる。
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