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SSS
最初は誰でも怖い(武州時代)

近藤と土方は外で楽しそうに隊士達と花火をやっている総悟を眺めていた。


「はぁ、大きくなったな。」


頬杖をつき遠い目をする近藤に土方が苦笑する。


「体だけでかくなって中身はあんま成長してねぇけどな。」

「いやいや、成長したよ。覚えてるか?総悟と初めて花火した時の事。」







*******


総悟が近藤、土方に出会って初めての夏。その時総悟はまだ10才にも満たない子供だった。


「総悟〜!!今日は花火大会するぞ。いっぱい買って来たから。」

「花火!?するする!!」


総悟は目を輝かせる。

ミツバは気管が弱い為、煙などは極力ダメだった。だから花火などした事なかったのだ。




――そして夜



「近藤さん、ここ水置いとくな。」

「あぁ、悪いなトシ。ありがとう。」

「あっ!何でお前までいるんでぃ!!」


総悟の中では土方はいないものだと思っていた。

だが他の門弟も一緒に花火をするのだから土方がいたってなんらおかしくない。


「まぁまぁ。花火は皆でするから楽しいんだぞ!ほら、総悟もやってみろ。」


近藤は総悟の小さな手に一本の花火を渡した。
総悟はさっきまでの不機嫌はどこへやら、嬉しそうに火元に行く。

火の近くに子供だけ行かせるのは怖いので後ろから近藤も着いてくる。


「いいか、このひょろっとした紙に火を当てるんだ。手は上の方を持つんだぞ。」


言われた通りにして花火に火をつける。

シュボッと音がし、花火が出た瞬間


「Σうわっ!!!」


総悟は花火を投げ捨ててしまった。


「どうした!?火傷でもしたのか!?」


近藤はすぐさま小さな手を確かめる。総悟は花火から目を離さない。


「近藤さん、アレ…。」

「これが花火だぞ。」


近藤は総悟が投げ捨てた花火を掴み、総悟に渡そうとした。


「ヒッ!やだやだ!!いらない!!」


そう言って近藤から逃げる。


「どうした?ほら、綺麗だろ?」

「いや。いらない。」


またもや近藤から逃げる。

いや、花火から逃げると言った方が適切か。


「近藤さん、こいつもしや花火怖いんじゃないか?」

「え?」


2人の様子を見ていた土方が近藤に近づく。


「怖い?」

「総悟ってこれが初めての花火なんだろ?ほら、ガキって最初は花火怖がるじゃねぇか。」

「そういえば。」


花火を怖がり泣く子供を思い出した。前近所とした時にそこの子供が怖がって泣き出したのだ。


「あんたが一緒にしてやればいいんじゃないか?」

「そうだな。お〜い総悟!」


他の門弟の花火を眺めている総悟を呼ぶ。


「なんですかぃ?」

「花火やろう!」

「えっ。」

「俺が一緒に持っててやるから。」


総悟は不安げな顔をしながらもコクンと頷いた。


総悟の手を包む様に近藤が一緒に花火を持つ。


「ほら、火つけるぞ。」

「………。」


さっきと同じように導火線に火をつける。

するとすぐさまジュポと音を立てて花火が吹き出した。


「うわっ!」

「大丈夫、大丈夫。花火は火傷しないようになってるから。」


少し逃げ腰でピタリとくっついてくる総悟に近藤は大丈夫だと言い聞かせる。


花火は赤、青、紫と色を変え、シュ〜っと消えてしまった。


「花火が終わったら水につけるんだぞ。」


総悟の手を持ったまま用意されているバケツまで行き花火を入れる。


「よし、2本目するか。」


総悟はコクンと頷き一緒に花火を選んだ。


それを何度か繰り返してくる内に慣れてきたのか笑顔がみれるようになった。とは言ってもまだ一人では怖がるのだが。

その日はずっと近藤と一緒に花火を楽しんだ。










*******


「みたいな事があったじゃん。」

「あ〜、そう言えばあったわ。そんな可愛い時が。」

「だろ?あの時はあんなに怖がってたのに今では……」



(沖)「いけぇ!俺の下僕達(ロケット花火)!!土方に攻撃だ!!」



ヒュン ヒュヒュン ピュルルルル




「ギャァァァ!!!テメッ、危ねぇだろうがぁぁ!!!」


「アハハハハ!!まだまだありやすぜ。」
「マジ勘弁!!」








「あんなに大きくなっちゃって。」


一人感慨に浸る近藤だった。


いや、てか止めたれよ。




おわり



花火を怖がるチビ沖田を書きたかっただけです。

子供って最初絶対怖がりますもんね♪


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あきゅろす。
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