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ライオンの姫
『夢』


「陛下。姫様をお連れいたしました。」
「入りなさい。」
「…失礼します。」

由夜にエスコートされて、王のいる部屋へ入る。
三人が入ると扉は閉められ、部屋の中には王とゆあんたちの四人だけになった。

「…ゆあん姫。」
「はい。」
「姫は前に、城を抜け出したいと呟いたね。姫でない自分になりたいと。」
「…確かに、申し上げました。」

あれはいつだっただろうか。
まだゆあんが今よりもう少し小さくて、自分が自由の利かない籠の中の鳥だと思っていたころ…。

「今朝報告があった。異世界への扉が開いたらしい。」
「!?セレメディアの…扉ですか?」
「そうだ。興味はあるか?」
「…とても…あります。」
「ゆあんに扉の使用を許可する。自由に使いなさい。」
「…私が使用しても、よろしいのですか?」
「ただし、使用する場合、事前に私に報告すること。いいね?」
「はい、ありがとうございます。」

―セレメディアの扉…。
このゆあんがいる世界とは全く別の世界へつながっていると言われている。
初代女王がこの扉を使ってこの世界へ来たらしい。
普段は絶対開かない石の扉によって閉まっているが、ときたま向こうの世界とこちらの世界がつながり、石の扉が消えてしまう。
そして今、その石の扉がつながったのだ。
いつまでこちらと向こうがつながるのかは不明である。

「ゆあんちゃん…、本当に行くの?」
「行くよ。向こうの世界に関する知識は、向こうの世界に着いた時にはすべて頭の中に入ってるって。」
「…どんな世界かもわかんねぇのに行くのか?」
「ダメだったら帰ってくればいい。あたしは…自分が姫じゃない世界に行ってみたい!別に、本当に姫じゃなくなるわけじゃないってわかってる。ちょっとした、興味だよ。」
「しかたねぇな…一緒に行ってやるよ。」
「…えっホントに?」
「心配だからしょうがねぇ。ゆうやはどうする?」
「俺がいないと生活できないでしょ?一緒に行くよ。」
「…ありがとう、二人とも。出発は明日の夜ね。」
「…ずいぶん早いな。」
「もう父さまには言ったから。」
「やることも早いな。」



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あきゅろす。
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