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本当に独人?(名探偵コナン・哀)
  
  私に幸せなんて物は無縁なんだと思ってた。

  ずっとそんな物必要ないと思ってた。

          自分自身に思わせてた・・・。

  幸せって物はある人にはあって
        
        無い人には無い物なんだと決め付けていた。

  でも
 
  知ってしまった。

  本当のささやかな幸せ。

  1度知ってしまった幸せを

  私はもう手放す勇気、出せないかもしれない。

  私はもしかすると

  本当に弱ってしまったのかも知れないわね。

  ・・・・・独りを『怖い』と感じるなんて。


     〜本当に独り?〜


 気がつけば私は闇に居た。

 何もかもが真暗で

 消えてしまいそうなほどの静けさ。

 
 こんなところに居ると
  昔の感じがよみがえる――――――。

 ここはあそこなの?
 


 カツンッ コツンッ

 不気味なほどよく通る誰かの足音が近づいてくる。

 これは誰の音?

 

 心をよぎったのは

 黒色のポルシェと舌にピリッと刺激の走る酒

 
 いつも私を締め付けて

 がんじがらめに束縛して・・・。

 当時の記憶が流れてくる

 黒に染まっていく私・・・。

 ただ光の無い瞳から涙だけが流れる。

 
 バーロォ

自分の運命から… 逃げるんじゃねーぞ…

 
 
 ふと頭に流れた言葉

 我に返る自分

 ここから逃げなきゃ!

 じゃないと私は駄目になる・・・!

 走り走り走った。

 
 気がつけば私は草原に居た。

 そして分かった。
 
 ああ、これは夢なのね・・・。

 何もない、ただただ広がる草原。

 あまりにも広に草原に

 私は一人だ・・・。
 私は独りだ・・・。

 そう思い涙があふれた。

 私が望む物は絶対手に入らないのね・・・。

 「違うでしょ?」

 
 
 志保は突然声をかけられて驚き声の方を見た。

 そこに立っていたのは

 「お姉ちゃん!?」

 その言葉に明美はにこっり微笑んだ。そして言った。

 「あなたは一人じゃないでしょう?」

 「で、でも・・・私は・・・・。」

 「あなたはさっき、誰の声で闇から逃げれたの?

  さっきだけじゃないわ。いつも、生活していく中で

  いっぱい支えられてるでしょ?いっぱい幸せ、もらってるでしょ?

  いつも近くにいるじゃない。皆・・・。」

 志保は目をつぶり、ゆっくりとうなずいた。

 明美はそんな志保を見て、続けた。

 「志保、私はね、今、あなたがこんなにも素敵な顔をしてる事が

  とっても嬉しいの。大切な人ができて、普通の友達ができて、

  それって、とっても素敵な事よね?

  だから、あなたが闇に囚われてる夢、怖かったわ。
  
  でも、安心したの。あなたは彼の事を思い出して、自力で逃げたもの。

  もう、大丈夫ね。あなたが行く先は、いつもあなた自身が照らしているものね。」


 「お姉ちゃん、・・・ありがとう。」

 志保の頬に、暖かい涙が伝った。

 「うん。志保、私の分も、精一杯幸せに生きてね・・・。」

 明美の頬にも、涙が伝った。

 「もう、行かなきゃ。」

 明美が上を見あげて言った。

 「ばいばい、志保。彼や皆と・・・仲良くね。」

 「お姉ちゃん!!」

 志保が叫ぶと同時に明美の姿は消えた。

 志保はもう一度目をつぶり言った。

 「本当にありがとう。お姉ちゃん。」

 そして目を開き、しっかりと前を見据えて一歩ずつ歩きだした。
 
 皆を探すために・・・。

 


 「はっかせ〜〜〜〜!!!!」

 「遊びに来たぜっ!!」

 「今日も新作のゲームを「し〜〜〜〜〜。」

 博士の家に元気にやってきた3人は入るなり博士とコナンに言葉を

 止められた。

 人差し指を口に当てながら、もう片方の腕でコナンが指差した先には

 どこか子どもらしい笑顔で眠る哀の姿があった。

 「昨日、遅くまで起きていたからか眠ってしまったんじゃ。」
 
 小声で博士が3人に言った。

 「夜更かしは駄目だってウチのかーちゃんが言ってたぜ。」

 元太が小声で返す。

 「それにしても、気持ちよさそうだねぇ、哀ちゃん。」

 くすくす笑いながら歩美が言った。

 「///本当ですね。今日はおとなしくしましょうか。」

 哀の寝顔にやや照れながら光彦が言った。

 
 

  そうして哀は皆に出会えたのだった・・・。

 

        
          

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
哀ちゃん大好きです。
コナンのキャラは全員驚くほどに可愛すぎると思います。

読んで下さった方、ありがとうございました。



おまけ(?)

「夢の中なら、言っても大丈夫よね。
 
 本当は面と向かって言えるといいんだけど・・・。

 皆、いつも本当にありがとう。一緒に居てくれて。」

「そして工藤君、私あなたのこと・・・。」

 これだけはきっと絶対言えないものね・・・。

 言えばあなた、いったいどんな顔するのかしら?



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あきゅろす。
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