ラノベ系小説
学校にいると(リリアとトレイズ・トレイズが学校に来てからの話でリリトレ)
不覚にも変態殺人鬼に自分の気持ちを気付かされ、
無事生きて帰るとすぐにトレイズ・ベインと名を改め、言いたい事を伝える為にリリアを追って上級学校に入った。
学生生活にも慣れてくると、それと比例するようにリリアはモテるのだという事がわかってきた。
実際、たくさん女の子がいる学校の中でも、リリアはかなり可愛い方だと思う。
今まで女の子といえばしっかり関わった事のある人は、
双子のメリエルとリリアくらいしかなかったトレイズからすれば、それは少し厄介な誤算だった。
教室に入り授業の開始を待っているとぽん、と肩を叩かれた。
振り替えると授業が一緒になってそれなりに仲良くなった男の子がいた。
「おはよう」
トレイズはそう言うと机においていた鞄をどけて少年が座れる場所を作る。
ありがとう、と軽くお礼を言い、少年は隣に腰をかけ、チラリとトレイズを見てから、小さい声で聞いてきた。
「ねえ、ずっと気になってたんだけど、君、リリアーヌさんとどうゆう関係なの?」
ああ、またか…。
入学して、すぐにリリアのダンスのパートナーになり、パーティーで踊ったダンスがかなりうまかったらしく、
俺は入学してすぐに学校中のかなりの人に覚えられた。
それ以来、この手の質問はもう慣れてしまう程、男女問わずされてきた。
「リリアと俺は幼なじみだよ。」
これは特に隠す事でも無い為、正直に答える。
「ああ、なるほど。そんな感じだね。」
少年はうんうんと納得した風に頷き、
で、と興味深々といった顔を隠しもせずに続ける。
「リリアーヌさんとは付き合ってるの?」
これももう慣れた質問。でも、毎回悩む質問でもある。
トレイズはやや困った風に答える。
「それが、よく…わからないんだ。」
「そんな微妙な…」
少年は呆れた風に言うと、
「まあ君もモテるもんね。」
そう言って軽く笑った。そして続ける。
「付き合ってないのなら、リリアーヌさんに僕の事を紹介してほしいんだけど。」
昼休み、トレイズは凄く美味しい食堂で昼ご飯を食べようと廊下を小走りに歩いていた。
すると向かいからリリアがずんずんと歩いてきた。
うわっ、怖い…。
口にこそ出さないが、頭にそう浮かんだ。
「ちょっとトレイズッ!!」
リリアは目の前まで迫ると公開一番にそう怒鳴った。
「何?どうしたのリリア。」
今にも謝ってしまいそうな低姿勢でトレイズはリリアに聞く。
リリアはぷくりと膨れながら言う。
「あんたと私はた・だ・の・幼なじみで、付き合っるかどうかはわからないんだって、あんた知ってた?」
やたらと「ただの」を強調するリリア。
トレイズは一瞬驚いてから、どこかからさっきの話が流れたんだろうと思いいたった。
「いや、俺はリリアが好きだから俺からすればただの幼なじみじゃないよ。でも、リリアは…違うだろ?」
サラリと言われ、リリアの顔が一気に真っ赤になる。
「何言ってるのよっこのバカッ!」
問答無用でトレイズにチョップをお見舞いする。
「なら関係聞かれた時にしっかり肯定しなさいよ!」
相変わらず真っ赤なままそう言う。
「…だって付き合っては無いし。」
トレイがぼそりと呟くと、リリアは蛇のごとく睨む。
正しく蛇に睨まれた蛙の心境を実感しながら少しだけ不愉快そうに一人言のように言う。
「でも、誰に聞いたのか知らないけど聞いてリリアに伝えるんなら最後まで聞いてけよな。」
「付き合ってないのなら、リリアーヌさんに僕の事を紹介してくれないかな?」
そう言われ、トレイズはしっかりと少年の方を見た。
「それは…駄目。俺、リリアの事大好きだから。」
少年は一瞬驚いた顔をし、にっと笑顔になるとバシッとトレイズの肩をたたいた。そして言う。
「君、実は面白い奴だったんだなー!頑張れよっ!」
トレイズがそれを伝え終わり、
おとなしそうな少年からの予想だにしない肩への激励をさすると
リリアは目を泳がせながら徐々に顔を赤らめていった。
顔を片手で抑えると下を向いて小さな声で呟く。
「バカ…。」
その後、バッと前を向くと
トレイズの制服の襟をわしづかみ、耳に顔を寄せ、
「私だって…大好きよ。」
そう呟いた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
リリトレでバカップルを書きたくなりました。
ヘタレな王子様とカッコイイお姫様。
このくだりが本当に大好きです。
どなたかに楽しんでいただけていれば嬉しく思います。
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