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ラノベ系小説
ある歌の話(キノの旅・師匠、弟子)
少し音の外れた、でもやや高めで落ち着いたが音が耳に心地いい、

そんな少し不思議な歌が聞こえた。
 
歌は今にも壊れそうなぼろぼろの黄色い車の中から聞こえた。

「師匠、それ、何の歌ですか?」

師匠と呼ばれた妙齢の女性は運転手の方をちらとみて答える。

「あなたは何の歌だと思いますか?」

聞かれたやや背が低めのハンサムな顔立ちの男は、その整った顔を少しひねさせて答える。

「ん〜・・・逃亡劇の詩に歌をつけた・・・感じですか?

普通に恋の歌にもとれますけど。」

「・・・面白い意見ですね。」
 
そう言って続ける。

「私はこの歌を聴いた時、戦歌だと思いました。」


「えっ?それは・・・どの辺が?」


やや驚いた顔をする弟子に師匠はふふふっと笑うと、

「それはこの歌を教えてくれた人にも言われました。」

そう答えた。

「そしてその人はこう続けました。」

師匠は一拍置いて続ける。

「この歌は聴く人の境遇やその時の状況に応じて読み取り方の違ってくる歌なのだそうですよ。」

のんびりと言う師匠に一瞬だけ唖然として弟子は言う。

「・・・師匠、それって・・・。」

「さあ、どうでしょうね。

それよりも、貴方にはこの歌が逃亡劇の様に感じたのでしょう?

じゃあやることは一つですね。」

そう言うと車の後ろの席から手榴弾を5つ取り出すと

思いっきり後ろへ放り投げた。




その爆風を背に、

たくさんの金銀財宝を奪うだけ奪い取ったその黄色い車は、

近くの村で、あくどい領主を殺してくれと膨大な額の財宝を詰みこんだその黄色い車は、


あくどい領主から、死んだ事にして逃がさせてくれと言われ、村人達が出したよりも多くの金を積み込まれたその黄色い車は、

一気にその場から走り出した。



手榴弾が作った爆風による砂煙が消えた時、

黄色い車の姿はもうどこにもなくなっていた。







〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ここまで読んでくださって有難うございました。
師匠弟子のコンビ、大好きです。

読んで下さったどなたかが楽しいの思ってくれれば幸いです。



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